ナターシャ!!
僕は持てる記憶の全てを、回復させたのであった。
確かに、僕には実姉がいたのであった。
僕より7つ年上のお姉さん、菜奈ねえちゃん。
菜奈ねえちゃんは、お転婆だった・・・・。
そう・・・・・、ナターシャとの一連の出来事は、全て菜奈ねえちゃんとの思い出だったのであった。
だから、ナターシャは幼さを残した風貌ながら、僕の世話をしてくれなのだ・・・・。
ナターシャにとって、僕は・・・・弟だったのだ・・・・・。
幼かった僕は、菜奈ねえちゃんが大好きだった。
そんな僕を、菜奈ねえちゃんはとても可愛がってくれた。
しかし・・・・
============ 突然、僕と菜奈ねえちゃんの別れが訪れる ==============
僕が道路に飛び出してしまってトラックに引かれそうになっていたところを、菜奈ねえちゃんがかばってくれた。
菜奈ねえちゃんは、トラックにはねられて亡くなった。
菜奈ねえちゃん16歳、僕が9歳のときだった。
ぼくは・・・・・、あまりに辛い記憶を自ら封印していたのだ。
「菜奈ねえちゃん・・・・
ナターシャ・・・・」
僕は母に、お墓参りに行ってくると告げて、家を出て行った。
我が家のお墓は、そう遠くない距離だった。
僕はお墓参りに必要なものを、大事に抱えながら歩いていった。
勿論近い距離だったので、我が家のお墓には、じきにたどり着いた。
それほど汚れてはいなかったのだが、清掃とお線香の準備をして心を整えた。
「ふう・・・・・・。」
僕は覚悟を決めながら、ため息をついた。
そして・・・・・
===========「ナターシャ!!」=============
やはり墓前にいた僕の前に、ナターシャが現れたのである。
でも何故か彼女の顔からは、空元気な様子がうかがえる。
ナターシャと再会出来たのだが、自分としては彼女が心配になってきた。
「ナターシャ・・・・」
僕はナターシャの事が今が一番に、とても愛おしかった。
「ナターシャ、どうして僕を助けてくれたんだい?」
僕は一度見捨てたナターシャが、どうして看病してくれたのかを問うてみた。
「それは・・・・・・」
ナターシャは、目をつぶって少しの沈黙を作っていた。
僕は彼女のその様子をみて、ゴクリと唾を飲み込んだ。
============= 「アタシが大魔道士だからな!!」 =============
ナターシャは、自身たっぷりにその台詞を述べていた。
期待通りの言葉に、僕はホッと胸を撫で下ろした。
「そうだよな・・・・・」
そして僕は、ナターシャに優しく語りかけた。
それに対して彼女も、柔らかい笑顔を僕に対して向けていた。
「でもな・・・・、数彦・・・・。」
急にナターシャは、寂しげな表情に変わった。
「もうこれで、数彦に会えなくなるんだよな・・・・・。」
さらに彼女はションボリと、肩を落としたのである・・・・。
「ナターシャ・・・・・?」
彼女の様子が心配になった僕は、ナターシャに相槌を打った。
「・・・・・・・・・。」
すこし間をおいて彼女は、口を開いた・・・。
「もう数彦には、アタシの正体がバレてしまったからな!
アタシの、魔力は消えちゃうのさ!!!
それが・・・・、魔導士の世界の掟だからな!!」
「・・・え!!!!!!!!!
ええええ!!!!!!!!」
不意を突かれた僕は、ナターシャの意外な告白に驚き、そして狼狽した。
すると何故か、彼女はニッコリと微笑みを浮かべた。
「う・・・・・・・。」
ナターシャの表情の変わりように、僕は迷いを隠せなかった。
「まあそう気にするな、数彦!!
そろそろ、アタシは成仏しようか思っていたんだぞ!!」
そう言いながら、ナターシャは涙をポロポロと流していた。
「ナ、ナターシャ・・・・・」
彼女に語りかける僕の視界も、涙で歪んでいた。
「頑張るんだぞ!!数彦!!」
ナターシャは、涙を流しながらも再びニッコリと笑った。
「菜奈ねえちゃんは、満足したからな・・・・」
ナターシャは、スウッと消えていった・・・・。
僕は、お姉ちゃんの墓前で立ちつくしていた。
「菜奈ねえちゃん・・、ナターシャ・・・、僕を今までかまってくれて有難う・・・。
ふと気がつき視線を下に向けると、僕の足下で黒猫がゴロゴロと甘えていた。




