謎の物体X
「さて、帰るか……」
先ほど職員室で呼び出しから解放された僕はそう考える。
が、バックを教室に置いていたことを思い出した。
『やっちまった!』
ちなみに職員室は校内の2階にあり、僕の教室は4階というなかなか面倒くさい位置にあった。
仕方なく階段をのぼる。この学園は世界中から魔力保持者を集めているため、当然と言ってはなんだが階段も長い。階数も6階の校舎が5つと聞くだけで疲れるような造りになっている。
何とか階段をのぼり終えた僕は、足早に自分のクラスへ向かう。
これまたうちの学園の特徴だが、学年ごとにランクでクラスが作られている。
簡単にいうと、自分の魔術属性の強さや貴重さ、魔術に関する知識などで上からA~Eまでのクラスに分けられる。
例外としてXクラスが存在するが、このクラスは魔術属性が著しく強いものや、非常に珍しいものが所属するので、周りからは〔変人クラス〕という不名誉なアダ名までつけられてしまっているのだ。
「やっとついた」
1番奥にある、小さな教室の前で止まる。
外のボードには手書きで〔Xクラス〕の文字。
『実は僕がその変人クラスに所属するひとりなのであった』
……自分で言っておいて何だが、中々悲しいものだ。
弱々しくドアを開ける。
まず目に飛び込んだのは、何故か僕のバックを頭にかぶりながら座っている謎の物体だった。
「……」
予想外の事に、思わず僕は黙る。
「……」
すると、謎の物体も黙る。
教室に沈黙が走った。
「……」
「……スタッ」
沈黙に耐え兼ねたのか、静かに立ち上がる謎の物体。
「……」
「……ストッ」
「いや座るんかーい!」
思わずツッコミをいれる。こんなことする奴を僕は1人しか知らない。
「おい。いい加減僕のバックを返してくれ」
「スポッ! ふぅ~」
「なんでそんなやり遂げた顔してるんだ!?」
姿を現した謎の物体は案の定、僕の幼なじみである萩原星歌だった。
「なぜ僕のバックをかぶっていたのかね?」
「キョースケを待ってた」
「僕を待ってたことが、僕のバックをかぶる事とどう繋がるの?」
「キョースケ細かい」
「この話し、細かいことの範疇を越えてるよね!?」
「はやく帰ろ?」
彼女が帰る支度をしだす。
「あっ! おい待てよ!」
こんないかにも変人な彼女だが、実は学園内1位のスナイパーで、重火器系の扱いなら右に出るものがいないといわれる学園の誇りなのだ。
ではなぜ彼女がXクラスなのか?無論それは彼女自身の魔力属性の特殊さにある。それは……
「先行くよ」
気がつくと星歌はすでに愛用のライフルを背負い、教室を出ていた。
「だから待てって!」
僕も慌てて教室を出た。




