学生
僕は、社会への浸透がすさまじいAIに、仕事を奪われるのではと不安を感じている旨を、教えを受けている大学の先生に打ち明けた。
すると先生は、「自分は、AIはそこまで社会に入り込まないのではないかと考えている」と言った。
でも、こういってはなんだけれど、先生は見るからにご高齢という方で、新しいものに対して若い人よりも拒否感が強いだろうからと、安心する気持ちにはならなかった。
とはいえ、なぜそう思うのか理由は気になるので、先生が語る言葉に興味深く耳を傾けた。
「どうしてかというとだね、人間というものは、次から次へと入ってくる外部からの大量の情報に対して、いちいち本当か嘘かを考えてなどいられない。ゆえに、基本的にすべて正しいと捉えるようにできていると思う。だからこそ、信じられないくらい単純な手口の詐欺に引っかかる人が後を絶たないだろう?」
「ああ、そうですね」
「それでも、人は嘘をつくし、間違うこともあると、生まれてからずっと他人と関わるなかでわかっているから、まだ用心したり諦めがついたりするものだけれども、AIとか機械の類には、やることは正確で、誤りを犯したりはしないという感覚が強いために、一層疑うことをしない。しかし、知っての通り、AIも間違うし、それどころか平気で噓をつく。なので、想像以上の多大な損害や痛手をこうむる人が、現在もいるだろうが、今後はもっと増えて、AIはこりごりでもう関わりたくないという人数が相当数に達するのじゃないかと思うのだ。結果、必要以上にAIを社会に組み込むのはやめようというふうに至る、そう私は考えているのだよ」
「なるほど」
その意見に、僕はすごく納得できたので、心がすっと晴れた状態になった。
——のだけれども、直後に先生は言ったのだ。
「じゃあ、この考えをどう思うか、AIに訊いてみよう」
……。
こんなご高齢の方にも、すでにとても信頼されているのだなあと、僕はAIの脅威を再認識する羽目になったのだった。
「あーあ」




