9
続きを書いて。
令嬢に囲まれたアルリックにヤキモチを焼いたエレナの可愛い嫉妬を受けメロメロになるアルリック。
を書いて
## 騎士団長の「完敗」:令嬢の嫉妬は甘い毒薬
カシアンの一件が完全に過去となり、二人の仲が盤石なものとなった頃。
王宮で開催された叙勲祝賀会で、事件は起きた。
アルリックは今回の手柄(詐欺組織の壊滅)の主役ということもあり、会場では常に令嬢たちに囲まれていた。
「アルリック様、あの時の剣捌きをお聞かせ願えませんか?」
「まあ、その傷……おいたわしい。私が癒して差し上げられたら……」
アルリックは鉄の仮面を被り、事務的にあしらっていたが、その視線は常に会場の隅にいるエレナを探していた。
ようやく彼女の姿を捉えたとき、アルリックの心臓がわずかに跳ねた。
エレナは、見たこともないような冷ややかな笑みを浮かべ、シャンパングラスを握りしめてこちらを「観察」していたのだ。
### 「可愛い」宣戦布告
宴も終盤、ようやく解放されたアルリックがエレナに歩み寄る。
「エレナ、待たせたな。少し、令嬢たちの相手が長引いて……」
「あら。お忙しいところ申し訳ありませんわ、団長様」
エレナは扇子をパチンと閉じ、ツンとあごをそらした。
「あんなに大勢の『可愛い小鳥さん』たちに囲まれて、さぞかし鼻が高かったでしょうね? 私への上書き作業よりも、あの方たちの傷の手当ての方が、よほど重要なお仕事だったようですわ」
「……エレナ、それは誤解だ。私は……」
「いいえ、結構ですわ。私は強情な女ですもの。……あなたのことが『大好き』なあの方々に、私の席を譲って差し上げてもよろしくてよ?」
そう言って背を向けるエレナだったが、その肩はわずかに震え、耳たぶまで真っ赤に染まっている。
アルリックは一瞬呆然とした後、自身の胸の奥から湧き上がる抗いがたい「熱」に気づいた。
(……なんだ、これは。愛おしすぎて、理性が焼き切れそうだ)
### 騎士団長の陥落
アルリックは周囲の目も憚らず、エレナの細い手首を掴んで、会場のテラスの陰へと連れ去った。
「放してください! まだお話の途中の令嬢がいらしたでしょう?」
「あんな連中はどうでもいい。……エレナ、もう一度言ってみろ。貴女は今、嫉妬しているのか?」
アルリックの声は、もはや冷徹な騎士団長のものではなく、熱に浮かされた一人の男のものだった。
エレナは顔を真っ赤にして彼を睨みつける。
「そうですわ! 悪うございましたね! あなたが他の女性の香りに包まれているのを見るだけで、胸の奥がキリキリして……叫びだしたくなるほど不愉快ですわ! こんなの、私らしくありません!」
エレナは彼の胸をポカポカと叩き、目に涙を溜めて訴える。
「……あなたのせいですわ。あんな強引に私を上書きしたから、私の心は、もうあなた無しではいられなくなってしまったんですもの……!」
その瞬間、アルリックの理性が崩壊した。
彼はエレナを壁に押し付けるように強く抱き寄せ、その首筋に顔を埋めて、深く、深く呼吸した。
「……完敗だ。これほどまでに、貴女の独占欲が愛おしいとは」
### メロメロの代償
「アルリック様……?」
「……もう放さない。明日からの予定はすべてキャンセルだ。貴女が納得するまで、私が誰のものか、その身に教え込む」
アルリックの瞳は、これまでにないほどとろけ、熱っぽく潤んでいた。
最強の騎士団長ともあろう男が、少女のような嫉妬に翻弄され、情けないほどにメロメロになっている。
「いいか、エレナ。貴女が嫉妬してくれるなら、私は王座だって捨ててみせる。……もう一度、その可愛い顔で『私だけのものだ』と言ってくれ」
「……っ、そんなの、言わなくても分かっているでしょう……!」
エレナが恥ずかしさに耐えかねて彼の胸に顔を隠すと、アルリックは彼女を壊れ物のように抱きしめ、幸せを噛みしめるように目を閉じた。
かつて「愛は勝ち取るものだ」と豪語していた男は、今や愛する女性のほんの少しのヤキモチで、跪くことすら厭わない「愛の捕虜」へと成り下がっていた。
そして、そんな彼の様子に、エレナもまた、確かな「愛の勝利」を感じて、彼の背中にそっと腕を回すのだった。




