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「……じゃあ」
気づけば、声が出ていた。
さっきまで、あんなに何も言えなかったのに。
喉の奥に引っかかっていたものが、無理やり押し出されるみたいに。
「……じゃあ、どうすればいいの?」
自分でも驚くくらい、かすれた声だった。
それでも、止まらない。
「どうしたら、残れるの?」
問いというより、ほとんど願いに近い。
答えなんて、もう分かっているはずなのに。
それでも、聞かずにはいられなかった。
少しでもいい。
ほんの少しでも。
可能性があるなら――
「何か、あるんでしょ」
縋るみたいに、言葉を重ねる。
「こうすればいい、とか」
「これをすれば、消えないとか」
「……あるんでしょ」
視線が、自然と雨宮先生に向かう。
答えを持っている人を見る目で。
最後の拠り所を見るみたいに。
でも。
雨宮先生は、すぐには答えなかった。
ただ、静かにこちらを見ている。
その表情は、変わらない。
優しくも、冷たくもない。
ただ――現実だけを知っている人の顔。
その沈黙が、何より雄弁だった。
「……っ」
胸の奥が、きしむ。
分かってしまう。
その間の意味が。
それでも。
それでも、引き下がれなかった。
「だって、おかしいじゃん……」
小さく、言葉がこぼれる。
「何もしてないのに、勝手に消えていくなんて」
「そんなの……」
息が詰まる。
うまく言葉にならない。
それでも、無理やり繋ぐ。
「そんなの、納得できるわけないじゃん」
拳が、知らないうちに強く握られていた。
震えているのが、自分でも分かる。
怖いのか、悔しいのか、それとも――
全部か。
「……残りたいんだよ」
ぽつりと、本音が落ちる。
「ちゃんと、ここにいたい」
「消えたくない」
言ってしまった瞬間、少しだけ息が楽になる。
隠しても意味がないから。
もう、全部分かっている状況で。
取り繕う余裕なんて、どこにもない。
「……だから」
もう一度、顔を上げる。
まっすぐに、雨宮先生を見る。
「教えてよ」
声は弱いまま。
でも、視線だけは逸らさない。
「どうしたらいいのか」
それが、最後の足掻きだと分かっていても。
それでも――
聞かずにはいられなかった。




