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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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78/147

78話

翌日。昼。


レイカのギルド本部。

会議室のような小部屋に、六人が集まっていた。


俺、相棒、シエル、葵。

そしてレイカとユイ。


「で」


レイカが腕を組んだまま言う。


「結論から聞こう」


「うちに入るか?」


単刀直入。昨日の続きだ。

少しの間。


俺が答える。


「入らない」


即答。

ユイが少しだけ「あっ」と声を漏らす。

レイカは表情を変えない。


「理由は」


「自由に動きたい」


「縛られるのは面倒だ」


「なるほどな」


納得したように頷く。

相棒も軽く言う。


「『そういうのは性に合わん』」


シエルも頷く。


「『同意』」


葵は笑う。


「まあ、そうなるよな」


レイカは少しだけ考えたあと、言う。


「なら冒険者登録だけでも」


「それもなしだ」


再び即答。


「……徹底してるな」


「必要になったら考える」


「今は不要」


はっきりしている。

レイカは小さく息を吐く。


「まあいい」


「無理強いする気はない」


その時、ユイがふと思い出したように言う。


「でも」


「このままだと呼び方困りません?」


「呼び方?」


「はい」


少し身を乗り出す。


「パーティっていうか、チームっていうか」


「そういう名前ないじゃないですか」


全員、少しだけ止まる。

確かにない。


レイカも頷く。


「識別のためにもあった方がいい」


「管理しやすいしな」


「管理はされん」


俺が返す。


「そこは譲れ」


レイカが即返し。

少し空気が緩む。


葵が椅子にもたれながら言う。


「じゃあ適当に決める?」


「今さら新しく?」


その瞬間、相棒がぽつりと言う。


「『異世界で使っておった名をそのまま使えばよいじゃろ』」


静かな一言。

シエルが顔を上げる。


「『……ソレ』」


葵も止まる。


「『あー』」


全員、一瞬だけ沈黙。

ユイが首を傾げる。


「あるんですか?」


「あった」


俺が短く答える。

レイカが興味深そうに聞く。


「何だ」


少しだけ間。相棒が言う。


「『宵星』」


異世界の言葉。

だが、その意味は日本語にするとそれだった。


静かに落ちる名前。

ユイが小さく繰り返す。


「宵星……」


「なんか、かっこいいです」


シエルが静かに頷く。


「『最初に付けた』」


葵が笑う。


「懐かしいな」


「まだ覚えてたんだ」


「忘れるわけなかろう」


相棒が返す。

レイカが腕を組みながら言う。


「悪くない」


「いや、かなりいい」


そしてこちらを見る。


「それでいくのか」


少しの沈黙。

俺は頷く。


「ああ」


「それでいい」


シエルも。


「『賛成』」


葵も軽く手を上げる。


「異議なし」


 相棒も笑う。


「決まりじゃの」


ユイが少し嬉しそうに言う。


「じゃあ皆さん、宵星ですね」


「そうなる」


レイカが小さく笑う。


「登録なし、所属なし」


「だが名前だけはある」


「面白い連中だ」


その言葉に、葵が肩をすくめる。


「それがうちらだろ」


シンプルな話だった。

組織にも属さず。


誰にも縛られず、だが確かに繋がっている。

その名前だけで十分だった。


――宵星。


異世界を生き抜き。

そして、この世界に戻ってきた四人。


その名は、再び動き出す。

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