62話
夕方。
特にやることもなく、いつものようにリビングで過ごしていた。
ユイとシエルが並んで座っている。
会話もだいぶ自然になってきている。
「……ソレ、何?」
「これですか?スマホです」
「スマホ……」
そんなやり取りを横目に、俺は適当に座っていた。
その時、ユイがふとこちらを見る。
「……あの」
「何だ」
「ちょっと聞いていいですか?」
「いいぞ」
少しだけ間を置いてから、ユイが言う。
「何年生まれなんですか?」
唐突な質問。
「今2024年ですよね?」
「そうだな」
「えっと……年齢的に20歳くらいですよね?」
「……まあな」
そのまま答える。
ユイが頷く。
「じゃあ、2004年生まれですか?」
一瞬、間が空く。
相棒がちらっとこちらを見る。
シエルも静かに視線を向ける。
俺は短く答える。
「そうなるな」
ユイが「あーやっぱり」と納得したように笑う。
「なんかそんな感じしました」
「どんな感じだ」
「落ち着いてるけど、変に年上って感じでもないというか」
「微妙なラインです」
「適当だな」
「そんなもんですよ」
軽く笑う。特に深く考えていない様子だ。
シエルが小さく呟く。
「……ニジュッサイ」
少し不思議そうな顔。
ユイが説明する。
「年齢のことです」
「何歳ってやつ」
「……アア」
シエルが頷く。
そしてこちらを見る。
「……ワカイ」
「どういう意味だ」
「……見タ目」
少しだけ言葉を選んでいる。
ユイが笑う。
「確かに見た目は若いですよね」
「余計なお世話だ」
「いいことじゃないですか」
相棒が小さく笑う。
「『実際は違うがの』」
「『言うな』」
自然に異世界の言葉が混ざる。
ユイがちらっと見る。
「またそれ」
「癖だ」
「はいはい」
もう慣れている。
シエルが少し考えてから言う。
「……私ハ?」
「……何だ」
「何歳ニ見エル」
ユイが少し悩む。
「えー……」
「同い年くらい……ですかね?」
「……ソウ」
シエルが小さく頷く。特に否定もしない。
相棒が横で小さく呟く。
「『まあ、間違ってはおらん』」
「『見た目はな』」
ユイがまた首を傾げる。
「今の絶対なんかありますよね」
「気にするな」
「気になりますよ!?」
だが、結局は流される。
ユイは深く追及しない。
ただの雑談として終わる。
「でもなんか安心しました」
「何が」
「ちゃんと同年代なんだなって」
「そうだな」
短く答える。
そのまま、また何でもない会話に戻る。
シエルがぽつりと呟く。
「……ニジュッサイ」
どこか不思議そうにその言葉を、何度か繰り返していた。
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