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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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47話

相模原ダンジョン、深層手前。


静寂の中、そいつは立っていた。


黒い外皮。人型。手には長剣。

だが、生き物の気配とは違う。


「『……来る』」


シエルが小さく言う。


次の瞬間。消えた。


ザッ――


視界から消失。

だが。


「『右じゃ!』」


相棒の声。ほぼ同時。


俺は手を振る。

空気を弾く。


ガンッ!!


見えない位置で衝突音。

人型が弾かれて姿を現す。


「『速いな』」


「『ああ』」


シエルがすでに弓を引いている。


ヒュンッ。


放つ。だが―カンッ。


弾かれる。


「『防ぐか』」


人型が一歩踏み込む。

床が割れる。一瞬で距離を詰める。


相棒へ。剣を振るう。


重い一撃。だが相棒が受け流す。

横へ逸らし、懐へ。


ザンッ。


斬るだが浅い。


「『硬いの』」


「『外皮が強い』」


シエルが位置を変える。

視界外へ。

気配を消す。


そして――ヒュン。

背後からの一射。


人型が振り向く前に。


首元へ。だがギリ、と止まる。


「『完全には通らない』」


俺は前に出る。


「『削る』」


手をかざす。

今度は――重さ。


見えない圧を落とす。


「『重力圧縮』」


ドンッ。


人型の動きが一瞬止まる。

床が沈む。

だが――耐える。


「『耐えるか』」


「『なら、重ねる』」


空間を歪める。


一点。

ほんのわずかなズレ。


「『位相ずらし』」


人型の足元。空間が歪む。

踏み込みが狂う。


その瞬間。


「『今じゃ!』」


相棒が踏み込む。

速度が一段上がる。


ザッ。


視界から消える。

次の瞬間には、背後。

全力の一閃。


ザンッ!!


外皮が大きく裂ける。


「『通った!』」


シエルがすでに構えている。

その隙。


ヒュンッ。


矢が一直線に走る。

裂けた部分へ。貫く。


内部に届く。だが――まだ倒れない。


人型が動く。

無理やり体勢を戻す。


「『しぶといな』」


「『中身がまだ動いておる』」


相棒が言う。

俺は短く答える。


「『なら、消す』」


手を上げる。魔力を集める。

今度は一つじゃない。


複合。重力で押さえ。

空間でズラしその中心に――


「『収束』」


圧縮。一点へ。

人型の中心。


すでに裂けた場所へ。

全てを集める。


「『崩せ』」


解放。


ドンッ!!


内側から潰れる。外皮が耐えきれず、砕ける。

人型の動きが止まる。

その瞬間。


「『終わりじゃ』」


相棒が最後の一歩。

斬る。


ザンッ。


完全に断ち切る。

同時にシエルの矢が突き刺さる。


中心を貫く。

沈黙。


人型が崩れ落ちる。

完全に停止。静寂が戻る。


「『……終わりだな』」


「『ああ』」


シエルが小さく息を吐く。


「『いい連携だった』」


相棒が笑う。


「『当然じゃ』」


俺は特に何も言わない。

ただ、残骸を見る。


「『今の、前はなかったな』」


シエルが言う。


「『重さと空間』」


「『応用だ』」


「『便利だな』」


「『そうでもない』」


短いやり取り。

だが戦闘は完全に終わっている。

周囲に気配はない。


「『この辺りはこんなものか』」


相棒が言う。


「『ああ』」


シエルも頷く。


「『深く行けば、もう少し出るだろうな』」


俺は軽く息を吐く。


「『今日はここまででいい』」


「『了解』」


三人で踵を返す。

背中に、崩れた人型を残して静かなダンジョンを戻っていく。

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