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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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37/78

37話

現れたそれは、明らかに異質だった。


巨大な黒い塊。だが先ほどの個体とは違い、表面は岩のように硬質化している。


中心には、脈動する赤い核。

ズン……と一歩踏み出すだけで、床がわずかに揺れた。


「……デカいな」


レイカが低く呟く。


「さっきのとは別物じゃの」


相棒も刀に手をかける。

ユイは一瞬だけ息を呑むが、すぐに剣を構えた。


「やります」


その声に迷いはなかった。

俺は核を見据える。


「中心だ」


「壊せば終わる」


「了解」


レイカが即答する。


「私が前に出る」


地面を蹴る。

ドンッ、と音が響く。

一気に距離を詰める。


だが――ゴォッ。

黒い巨体の一部がうねり、腕のように変形する。


振り下ろし。


「っ!」


レイカが槍で受ける。

ガンッ。


重い衝撃だが押し切られない。


「硬いな!」


「物理も通るが、効率は悪いの」


相棒が横から斬り込む。

ザンッ。


外殻に深い傷が入る。

だが再生が早い。


「埒があかん」


ユイが一歩踏み出す。


「援護します!」


「ファイア!」


火球が直撃。

外殻が焼ける。

再生が一瞬だけ遅れる。


「今です!」


レイカが踏み込む。

槍を突き込む。


ガギッ――だが、途中で止まる。


「届かないか……!」


核まであと少し。

距離が足りない。


その瞬間。巨体が膨らむ。


「離れろ」


俺が言う。

三人が即座に飛び退く。


次の瞬間。

ドンッ!!


衝撃が全方位に広がる。

床が砕ける。

余波だけで壁にヒビが入る。


「範囲攻撃か」


レイカが舌打ちする。


「面倒だな」


「でも……」


ユイが息を整える。


「核は見えてます」


「いけます」


相棒が小さく笑う。


「よい目じゃ」


俺は一歩前に出る。


「外殻を削る」


「その後、叩け」


「任せろ」


レイカが構える。

相棒も低く姿勢を落とす。


ユイは剣を握り直す。

魔力を巡らせる。


俺は手をかざす。

今度は――風じゃない。


空気が歪む。

熱が集まる。


周囲の温度が一気に上がる。

レイカが目を細める。


「……まだあるのか」


答えない。魔力をさらに圧縮。


火。

だがただの火じゃない。

圧縮し、固定し、形を持たせる。

そして。


「貫け」


放つ。一直線の熱線。

轟音すら遅れる速度。


ズガァァァン!!

黒い巨体に直撃。


外殻を焼き切り、貫通する。

赤い核が露出する。


「今だ!」


レイカが飛び込む。

槍を全力で突き出す。


だが直前で、黒い液体が集まり防壁を作る。


「止めるか!」


その横。ザッ――

相棒が消える。


次の瞬間には、核の真横。

刀を振りかぶる。


「遅い」


ザンッ。防壁ごと斬り裂く。

核が完全に露出する。


「ユイ!」


「はい!」


ユイが駆ける。

魔力を剣に集中させる。

炎が纏う。


「ファイア――!」


一瞬、迷う。だが。


「――スラッシュ!」


振り抜く。

炎を帯びた斬撃が、核に直撃する。

バキッ――亀裂。

だが、まだ足りない。


「主」


「ああ」


俺は手をかざす。

今度は雷。


空気が震える。青白い光が集まる。

レイカが一瞬だけ目を見開く。


「……属性切り替えか」


関係ない。

狙うのは一点。露出した核。


「終わりだ」


落とす。――雷撃。

ドォン!!

轟音とともに、雷が核を貫く。


内部から弾ける。

黒い巨体が大きく震える。

そして崩壊した。


ズズ……と音を立てて、全身が崩れ落ちる。

完全に沈黙する。


静寂。


「……終わった?」


ユイが呟く。


「終わりだ」


俺が答える。レイカが槍を肩に担ぐ。


「……なるほどな」


「本当に底が見えない」


相棒が軽く笑う。


「主は器用じゃからの」


ユイがこちらを見る。


「今の……火と雷……」


「全部使えるんですか?」


「大体はな」


「大体って何ですか……」


呆れたように言うが、どこか楽しそうだった。

レイカが一歩前に出る。


「いい連携だった」


「特に最後」


ユイを見る。


「判断が早かったな」


「……ありがとうございます!」


ユイが嬉しそうに答える。

その様子を見ながら、俺は周囲を見る。

違和感は消えている。


「さっきのが原因だな」


「うむ」


相棒も頷く。


「これで落ち着くじゃろう」


レイカが小さく笑う。


「いい狩りだった」


その言葉に、ユイが少し笑った。


「はい!」


四人で、その場を後にする。

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