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異世界から帰ってきただけだが?  作者: Саша


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24話

もう24話

東京ダンジョン管理局、本部。

会議室の窓から、巨大なダンジョンの入口が見える。机の向こうに座る男が、資料をめくった。


「スタンピードの件ですが」


向かいに座っているのは一人の女性。


長い黒髪。

背もたれに軽く寄りかかり、腕を組んでいる。


鷹宮レイカ。Sランク冒険者。

男が言う。


「改めて確認しますが」


「四十階層付近で発生したスタンピードは、異常個体の討伐によって終息した」


「そう聞いている」


レイカはあっさり答えた。

男は資料を指で叩く。


「問題は、その異常個体です」


「討伐した人物が確認できていない」


「……」


「現場にいた冒険者の証言も曖昧」


男は目を細めた。


「ですが、一つだけ共通している点があります」


「ほう」


「誰かが倒した」


レイカは少し笑った。


「当たり前だろう」


「自然に死ぬわけじゃない」


男は気にせず続ける。


「その誰かが問題なんです」


「四十階層の異常個体を単独、または少人数で討伐」


「通常のAランクでも厳しい」


レイカは肩をすくめる。


「ならSランクじゃないのか」


「あなたを含め、当時Sランクは現場にいない」


「……そうだったな」


男は資料を閉じた。


「つまり」


「未知の戦力がいる」


少し沈黙。

レイカはつまらなそうに窓の外を見る。


「それで」


「私を呼んだ理由は?」


男は答える。


「現場の探索者から、名前が出た人物がいます」


「名前?」


「正確には」


「名前がない」


レイカは少しだけ視線を戻した。


「無登録の探索者」


「二人組」


レイカの口元が、ほんの少しだけ動いた。


「ほう」


男は続ける。


「魔法使いの男」


「刀を使う女性」


「この組み合わせの証言が複数あります」


レイカは何も言わない。

男は言う。


「鷹宮さん」


「あなたは東京ダンジョンの第一線に長くいます」


「何か心当たりは?」


少しだけ沈黙。

それからレイカは答えた。


「ある」


男の目が鋭くなる。


「やはり」


「だが」


レイカは言葉を続ける。


「別に珍しくない」


「ダンジョンには、強いフリー探索者もいる」


「それはそうですが」


「スタンピードを止めるレベルです」


レイカは軽く笑った。


「それで?」


「何が問題だ」


男は言う。


「問題は三つ」


「一つ」


「無登録」


「二つ」


「実力が不明」


「三つ」


「管理局の監視外」


レイカは腕を組み直す。


「つまり」


「気に入らないと」


男は首を振る。


「違う」


「危険性の確認です」


レイカは鼻で笑った。


「危険ね」


「そう思うなら」


「Sランクを増やせばいい」


男は冷静に言う。


「そのためにあなたの協力が必要です」


「協力?」


「もしその二人を見つけたら」


「情報を提供してほしい」


レイカは少し考えた。

そして言う。


「断る」


男が少し驚く。


「理由を聞いても?」


「簡単だ」


レイカは立ち上がった。


「その二人」


「多分、強い」


「……」


「そして」


少しだけ笑う。


「敵じゃない」


男は言う。


「それはあなたの判断です」


「そうだ」


「だから私の判断で動く」


レイカは扉の方へ歩く。


「一つ忠告しておく」


男が黙って聞く。


「もしそいつらを見つけても」


「下手に刺激するな」


レイカは振り返った。


「管理局が思ってるより」


「ずっと強い可能性がある」


男は目を細める。


「それほどですか」


レイカは少しだけ考えた。

そして答える。


「魔法の男」


「戦場全体を見ている」


「刀の女」


「踏み込みが人間じゃない」


それから肩をすくめた。


「理想的すぎる前後衛」


「……」


「正直」


小さく笑う。


「私でもちょっと面倒だ」


男は黙った。

レイカは最後に言う。


「だから言ってる」


「敵にするな」


そして部屋を出て行った。

廊下を歩きながら、レイカは小さく呟く。


「まったく」


「面白いのが出てきた」


そして少し笑った。


「ユイ」


「いいの拾ったな」

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