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0話 始まりと決別

かーなーり際どいので削除されるかもです。テスト勉強ほっぽりだして書いてるので消されたらチョベリバだめ丸つらたん水産です。

2019年10月15日。とてつもない台風が熱帯低気圧に様変わりし、酷いところでは川が決壊や氾濫起こして家まで水浸しらしい。


が、マンション六階に住むこの俺こと西京洞爺(さいきょうとうや)24才には何の関係もなかった。

「さーて、とっとと家帰って回転式の死神(リボルバー・タナトス)の名を世間にもっと轟かせるとしますかね。」

だが、どうにも日常ってモンは前触れもなしに崩れ落ちちまうらしい。


()()が起こるたった一日前に俺は仕事が運良く早めに終わり、翌日は会社の設立記念日なので得意にしてるFPSを夜通しプレイ出来ると息巻いていたのだから。


「やっぱ戦線恐強は猛者ひしめく深夜帯にやらなくちゃあなー」

「あっ先輩、今夜やるんですか?戦強。やるなら混ぜて下さい。先輩とタッグ組んで負けた試しないので。」

話かけてきたのは俺の2年下の後輩、花崎楓(はなさきかえで)。何というか顔立ちは整っていて綺麗なショートヘアだが如何せん無表情。


その癖ハードな腐女子兼オタク。入社当初はその美貌でセクハラこそ受けなかった物の大勢の男に言い寄られた。因みに俺は大勢の男の中には含まれない。何故なら彼女の本性を恐らく一番に知ったからだ。


花崎は一般人からしたら深淵、オタクな俺から見てもサイコパス。花崎のオタク道を表す言葉は只の一つ。()()。阿修羅も裸足で逃げ出すんじゃないのかと思う程の修羅。


花崎のコミケは3日前から断食する事から始まる。そしていつも八時間は取っているという睡眠時間を四時間、二時間、一時間と日が近づくほどに削っていく。その期間の花崎は異常だ。


まず、仕事が異常に早い。普段も早い方だがコミケ前の花崎は一つの部署で二時間掛かる仕事を三十分で済ませる。普段は自分の仕事だけ確実に終わらせるタイプなのだ。


しかし、コミケ前の花崎は自分の部署どころか全ての部署の仕事をもぎ取り今日の分どころか明日の分まで全て終わらせ絶対に三時に上がれるようにする。そこまでして家に帰り何をしているのかと尋ねるとこう答えた。


瞑想。とだけ、俺は恐怖を感じたよ。新入社員研修の時はちょうどコミケ前だったので、花崎は修羅だった。修羅崎だ、コワイ!


しかし当時の俺は鈍感だったので「別嬪さんが入ってきたなぁ」とか呑気な事を考えていた。しかし俺はある光景を見た。花崎はお~●お茶の500mlペットボトルを自販機コーナーで握り潰していた。


お茶が満タンに入っていたのにも関わらず、だ。そして俺に視線を向けてきた。死んだと思ったよ。やがて互いがオタクな事を知り死を錯覚しなくてもいいくらいには仲良くなった。


何故そこまで追い込みをかけるのか聞いてみると曰く、最初は普通に筋トレをして万全にしていたらしいがある冬コミの際に一番好きなサークルの同人が買えなかったらしい。その時に花崎は激しく後悔し、ある情報を思い出したという。


「人体の機能にはリミッターが存在し、100%は出ないようになっている。」

そして花崎はチマチマと筋トレをして数%増やすよりもロックされている数十%を使ったほうがいいと思いたったらしく鍛錬を続け100%を使えるようにしたらしい。


そんな花崎を恐れて誰も言い寄らなくなった。そしてそんなしょうもない回想は置いといて、

「えーやだよ、お前下手じゃ無いけど上手くもないじゃん。」

「そりゃあ回転式の死神(リボルバー・タナトス)なんていうどう考えても手遅れな二つ名持ちの先輩と比べれば下手ですけど…」


「グハッ…お前、それを言うんじゃ無いよ…気にしてんだから…」

「そうですか、じゃあもう言わないんで先輩の家で戦強しまょう。」

「え?」


何故だ、何故なんだ。何故無表情の花崎がちょっと女子っぽい部屋着を着てちょっと寄りかかってくるだけでこんなにも胸が高鳴るんだ。何故だ、何故だ。


いや、俺のタイプは優しくておっとりした天真爛漫な年上お姉さんなんだ。なに一つ当てはまらない花崎なんてあり得ない。あり得ないんだ。胸無いし。あ、いい匂いする。


ダンッ!ダンッ!ダンッ!

俺のハンドガンが放った弾が最後の敵に命中し完全勝利、いわゆるドン勝した。

「あ、敵死んだ。にしても先輩のハンドガン捌きは相変わらずイかれてますね。UZIマシンガン相手に三連ヘッショで下すとか只のチーターじゃないですか。」

「うるせえなあ、こちとら正規ユーザーじゃい。」

「流石世界大会でハンドガンで9位取るだけのことはありますね。」

「次は一位だよ。ばか者め。」


そんな他愛もない会話をしているとふと、花崎の雰囲気が変わった。

「ど、どうした?武者震いでもしてるのか?」

湧き上がる嫌な予感を押し込めて花崎に問いかけると、


「はー、先輩、もう無理です。襲いますね?」

「おっ!おっ!襲う!?何を言っとるんだお前は!大体嫁入りもしてない乙女が野郎の家に一人でなんて…んむぅ!」

説教を言い切る前に唇を奪われてしまった。あ、やばい。舌入ってきた。そういやこれファーストキスか。やばい、キスやばい、蕩けそうなくらい気持ちいい。


そして長い長い永遠にすら感じられる時間は終わりを告げた。

「ぷはぁ、先輩、ファーストキスごちそう様でした。」

「は、はなさき、なんれきしゅなんか…」

なんか呂律が回らない、体も熱くなってきた。


「あ、お薬効いてきましたね。安心して下さいね、ヤバイ薬じゃないんで。」

駄目だ。舌が全く回らない…

「はー先輩、自覚あります?」


なんの事か全く分からかったが、取れ合えず首を振った。

「それですよ、それ。先輩の中性的な顔で困った顔されるとヤバイんですよ。じゃーもう限界なんで先輩の生涯の友人を頂きますね。」

生涯の友人って…まずいまずいまずい!流石にそれはまずい!朦朧とする意識の中で全力で声を出す。


「ま、待て!花崎!お前はもっと自分を大切に…」 

「いただきまーす♪」

「あっ」

その夜に生涯の友人と決別した。結局花崎による婦女暴行と真反対の行為は朝方まで続き俺達は疲れ果て泥のように眠っているときだった。


()()は起こった。ツァーリボンバーが落ちたのかど思うほどの爆発音と雷が百本落ちたんじゃないかと思うほどの閃光が、世界を地獄へと様変わりさた。


これは終わった世界で生きる俺と彼女の、どうしようも無いほどちっぽけな冒険譚だ。  

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