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自己紹介。  作者: 無記名
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第1話「自己紹介。」

はじめまして。


こういう書き出しに、あまり慣れていない。


小説は書いているけど、自分のことを書く機会はほとんどないからだと思う。


何を書けばいいのか、少し迷う。


自己紹介、というものはもっと簡単に書けるものだと思っていた。


名前や年齢、仕事や趣味を書いて、少しだけ人となりを添えれば、それで終わるはずだった。


でも、いざ書こうとすると、何をどこまで書くべきなのか分からなくなる。


どこまでが「自分」で、どこからが「書いていいこと」なのか、その線引きが曖昧になる。


そんなことを考えている時点で、向いていないのかもしれない。


***


普段は営業の仕事をしている。


特別な業界でもなければ、特別な成果を出しているわけでもない。


いわゆる、どこにでもある仕事だと思う。


朝起きて、時間に追われるように準備をして、出勤する。


電車に乗ることもあれば、車で移動することもある。


取引先に連絡を入れて、アポイントを調整して、資料を作って、説明して、数字を確認して、また連絡をして。


気づけば一日が終わっている。


その繰り返しだ。


やりがいがないわけではない。


ただ、それを強く感じる瞬間も、あまりない。


達成感のようなものは、確かにある。


でも、それは長くは続かない。


次の日にはまた同じことをしているからだと思う。


良くも悪くも、慣れてしまっている。


なんとなく続けている、というのが一番近い。


***


家には家族がいる。


詳しく書くほどのことでもないけど、帰れば誰かはいるし、いなければいないで静かなだけだ。


テレビの音が聞こえることもあれば、何も聞こえない日もある。


食事の時間が合う日もあれば、それぞれ別に済ませる日もある。


特別仲がいいわけでも、悪いわけでもない。


たぶん、どこにでもある普通の距離感だと思う。


それが当たり前だと思っているし、疑問に思ったこともあまりない。


少なくとも、自分ではそう思っている。


***


趣味で、小説を書いている。


といっても、本当に趣味の範囲だ。


空いた時間に、思いついたものを書いているだけで、特別な技術があるわけでもない。


文章が上手いわけでもないし、構成に自信があるわけでもない。


ただ、書くこと自体は嫌いではない。


むしろ、何も考えずに書いている時間は、少しだけ楽だと感じる。


誰かに読まれたい気持ちはある。


それは間違いない。


せっかく書いたものだから、誰にも見られないまま終わるよりは、誰か一人でもいいから読んでほしいと思っている。


でも、それを強く意識しすぎると書けなくなる気がして、あまり考えないようにしている。


読まれることを前提にすると、急に手が止まる。


何を書いていいのか分からなくなる。


だから、できるだけ「誰にも読まれないもの」として書くようにしている。


その方が、楽だからだ。


***


これまでにいくつか投稿してきた。


「君が物語を奏でるなら」とか、

「調査記録:長内直人」とか、

「彼は嘘をつかない」とか、

「この人、知りませんか?」とか。


ジャンルもバラバラで、統一感はない。


そのとき思いついたものを、そのまま形にしているだけだ。


長く続いた作品もあれば、途中で止まってしまったものもある。


理由は特にない。


なんとなく書かなくなって、そのまま、というものがほとんどだ。


***


正直に言うと、あまり読まれてはいない。


特に「君が物語を奏でるなら」は、ほとんど伸びなかった。


自分では、それなりに気に入っていた作品だった。


書いていて楽しかったし、続きを考えるのも苦ではなかった。


それでも、数字は伸びなかった。


更新しても、ほとんど変わらない。


時間が経っても、変わらない。


まるで、最初から誰もいなかったみたいに。


誰かに読まれたいと思って書いたはずなのに、

誰にも読まれないまま、止まっている。


……まあ、いいと思っていた。


最初から、そういうものだと思えばいい。


読まれないことに慣れてしまえば、それで済む話だ。


読まれない方が、楽だからだ。


変に期待しなくていいし、裏切られることもない。


誰にも見つからないまま、

終わるはずだった。


***


ホラーは、少しだけ違った。


ほんの少しだけだけど、閲覧数が増える。


大きな変化ではないし、目立つ数字でもない。


それでも、確実にゼロではない。


更新するたびに、わずかに増えていく。


時間が経っても、少しずつ増えている。


それがどういう意味を持つのかは分からない。


ただ、数字として残っている。


それだけで、少しだけ続ける理由になっている。


***


コメントは、来たことがない。


一度もない。


だから、誰が読んでいるのかは分からない。


本当に読まれているのかどうかも、正直よく分からない。


数字だけが増えていく。


理由も分からないまま、増えていく。


それが当たり前になっている。


***


気がついたときに確認して、少し増えていると、なんとなく安心する。


減ることはないからだと思う。


増えるだけなら、それでいい。


それ以上は望まない。


***


特別なことは何もない。


誰かに誇れるような実績もない。


ただ、普通に働いて、普通に生活して、趣味で小説を書いているだけの人間だ。


こうして書いてみると、本当に何もないなと思う。


***


まあ、それでいいと思っている。


***


これはわたしの自己紹介。


あなた達に、少しだけわたしを知ってもらうためのもの。


たぶん、それで十分だと思います。

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