魔法の素質
魔法実習初級は火の矢の練習だった。俺は必死に頑張ったが、掌からは炎どころか煙すらもでなかった。担当の教師から指導を受け、周りの同級生からアドバイスを聞いて回ったが無駄だった。全くできなかったのは、どうやら俺一人のようだ。現在は、実習後の居残り訓練中だ。教師も指導してくれている。
「キミ、魔法の素質ない。」
様子を見ていた教師は俺に近づいてくるとそう言った。うすうすは気づいていたが、認めたくないことだった。俺は昔、一度だけ小さな火の玉を出したことがあるのだ。それ以降成功したことはないが・・・。その時、指導してくれた魔法使いは「才能がある」と言ってくれた。そのため、ずっと頑張ってきたのだ。成果は全然見られなかったが・・・。
「昔はもう少しできてたんですが・・・。」
「小さい時にできても、成長するとできなくなる人もいる。」
教師は俺に止めをさしてきた。恐らく教師の言うことは正しいのだろうが、やっぱり受け入れがたかった。俺はがっくりと膝を着く。
「まあ、魔法といっても放出系の攻撃魔法の素質の話。キミ、魔力は有りそうだし、他の魔法はわからない」
「どういうことですか?」
「うんとね。あの銀髪の女の子」
と言って一人の女の子を指さす。アリエットだった。炎の矢の練習をしているが、なんであいつが居残り練習しているんだ?
「あの娘はね、魔力を炎に変換する素質がない。おそらく、炎系の魔法は使えない。でも、他の系統はつかえそう。」
確かにアリエットは氷の矢や氷の嵐を使うことができる。でも、炎の矢は使えないのか・・・。確かに、俺と同じで煙すらでていない。
「キミが魔法を使いたいなら、まずは使える系統の魔法を知ること。今、何が使える?」
「収納魔法と生活魔法が少し使えます。」
俺の返答に先生は驚いている。
「キミ、収納魔法が使えるの?・・・ブレット君だったよね。」
「はい」
俺が答えると先生はとても不思議そうにしている。
「なんで入試で13点だったの?」
うっ。そういえば、そんなこともあったな。魔法を使ってと言われ、火の矢を放とうとして失敗し何もできなかったが、なぜか13点は貰えていた。俺としては忘れたい思い出だ。
「まあ、いいか。収納魔法の容量は一度に使える魔力量に依存するから魔力操作の授業を受けるといいよ。生活魔法は使い込めば少しは強くなるから、鍛えとくといいよ。」
生活魔法も強くなるのか。鍛えれば戦闘でも使えるかな?いろいろ試してみるか。
「後は、他に使える系統の魔法がないか自分で調べるといい。身体強化、付与魔法とか放出系以外の魔法はいっぱいあるから。まだ、始まってない授業もあるので図書館で調べるといい。」
先生はそう言うとアリエットの方に指導に言った。おそらくアリエットにも「キミ、素質がないよ」って言うんだろう。あっ、アリエットの顔が青ざめている。あの先生は少し言葉がたりないな。いい先生なんだが。
ん?アリエットと先生がこちらを見ている。何か指さされている、と思ったら、アリエットがこちらに走ってくる。
「ブレット、ボクも魔術について調べるから一緒に図書館に行こう」
「ああ。明日の授業が終わった後でいいか?」
「うん、楽しみだね」
こうして、明日は図書館にいくことになった。




