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第32話 冒険者の夢

4人の冒険者は必死な顔でお祈りをしている。

魔物の森の入り口にガチャ神社を設置したのは、ここが地のエネルギーが強いと思ったから。


サロンをオープンするときに必要となる物をガチャで引いているので、この地のエネルギーの強さは検証済みだ。

あとは、引く人の素直な願いの強さがカギだ。


同じ願いでも、人を陥れるような願いだとハズレばかりになることが分かっている。

この4人の冒険者の良い装備が欲しいというのは単純だけど強い願いだと思う。


「もし、良い剣が手に入ればもっと奥まで森に入っていける。高価な魔物の素材も手に入る。村にお金を持ってかえれる」


まだ装備が貧弱でスキルも低い彼らは森の入口の近くで魔物狩りや採取をしている。

そのくらいでは生活するのがやっとで、装備を良くするのも、村にお金を送るのも無理だ。


「僕らが村を出てきたのは、村にいる親兄弟に仕送りをするためなんです。まだ、全然できてないですが」

村では畑の広さが決まっているので長男以外は村に残るのが難しい。だけど、村を出て仕事を探しても教育を受けていない村人は何の教育も必要ない冒険者になるくらいしか仕事がない。


「とにかく、良い装備が成功への鍵なんです」

「その願い形にしましょう」


正式な参拝の仕方を教えてみる。

まずは、手水舎ね。


「ここでひしゃくに水をすくい、手を清めます。その後口を清めた後、柄に水を流します」


神社の存在は聞いたことがあったが、参拝するのは初めてという4人。

神妙な顔で清めをしている。


「まずはお供え物を並べて、2回礼をして、2回拍手して、お祈りをします。そのとき、心の中で自分の名前を神様に教えて願いを伝えます」


おー、やっているやっている。

若い子が真面目に参拝している姿もいいなぁ~と言っても今の私は彼らより若いんだけどね。


「では、枝を引いてください」


どんなの出るかな。

いい剣が出るといいな。


まずはリーダーからね。


ぴかっ。

おおっー。光り方が強いね。これは期待できるかも。


ころころころ。


《雷光の剣:☆☆☆》


おっ、レア3だ。やっぱりいいの出たわ。


「この剣、鉄の剣より良い物なんですか?」

「バカ言うな。すごく切れそうだぞ」

「この剣は雷光の剣と言って、雷の属性が付いた剣よ。素材はたぶん鋼鉄ね」

「うわっ、それって魔法付与の剣ってことですかっ」


魔法付与の剣は当然ながら高級な剣だ。

初級の冒険者に過ぎない彼らに手が出るはずもない武器。


「すごいの出たわね。あなたの願いが神様に届いた証拠よ」

「ありがとうございます。僕にとって宝物です」


雷光の剣を胸に抱いて、嬉しそうに答える。


「さて。次は誰?」

「「「えっ」」」


あれ?ひとり一回って言わなかったっけ。

代表でリーダーが引いたことになっているらしい。


「あ、ひとり一回ね。それぞれ願いをしっかりと持ってね」


じゃんけんを始めたリーダー以外の3人。

順番が決まったらしい。


誰の番でもお祈りは4人一緒にするらしい。

その方が人のパワー上がるかもね。


ぴかっ。ころころころ。


《ヒスイの杖:☆☆☆》


おっ、これもなかなか。

だけど、魔法は使えないんじゃないの?


「あ、魔法使いの杖ですよね。僕、魔法がちょっとだけできるんです」


火の魔法が使えるという彼。

もっとも、威力があまりないので剣で戦う方が中心みたい。


「その杖試してみたら?そうね。あそこの岩に向かって魔法を使ってみて」


初めて持つ魔法の杖。うれしそうにもっともらしい恰好で練習している。


「それじゃいきますよ。威力にびっくりしないでくださいね」

「大丈夫かよ。自分で敷居をあげてしまって。ひょろひょろな火だと恥かくよ」

「いや、なんかできる気がするんだ。この杖なら」


呪文を呟いていたと思ったら、大きく魔法の杖を振り回して岩を指す。

すると、大きな火の球が現れ、岩に向かって飛んでいく。


どっかーーん。

すごい爆発音がして、岩が黒焦げになっていた。


「うわっ、何、これ?」

魔法を放った本人が一番びっくりしている。


「すげーじゃん。これがあれば魔法使いとして戦えるな」

「おう。これからは魔法使いのリーチと呼んでくれたまえ」


お調子者なのね。みんなから褒められて嬉しそう。


「さて、今度は僕だね」


一番小柄な男子がガチャに挑戦する。



ぴかっ。ころころころ。


《森の図鑑:☆☆》



ん?本かな?



「うわ、図鑑だ。すごい。いろんな森の産物が載っている。ちゃんと見分け方のポイントまである」

「文字多いなぁ。こんなの読むの?」

「なに言ってるんだよ。この本、僕らに必要な知識が全部載っているよ」

「へぇ~」

「魔物の森もちゃんと解説してあって、僕が行っているエリアにも、高額で売れる錬金素材があるんだって」

「それはすごい」


やっと図鑑のすごさが伝わって嬉しそう。

そうか、彼は頭脳担当なのね。



さて最後の彼はどんなの出るかな。



ぴかっ。ころころころ。


《蛇神の護符:☆☆☆☆》



なんかすごいの出た。

レア4だって。


私だって、ごくたまにしかできないレア度よ。



「これ、なんでしょう」

「護符だから、色々な物から守ってくれるお札ね」

「うーん、なんか微妙」

「いえいえ。4人の中で一番レア度が高い素晴らしいアイテムよ」

「どんな効果あるんですか?」

「うーん。わかんない。首から下げておくと守ってくれるはず。蛇神さんがね」

「ふーん」


本当は剣が欲しかった彼。ちょっと残念そう。


「クリスさん。ありがとうございました」


大きく手を振って、魔物の森に向かう彼ら。

今日は夕方には戻ってくる予定だって。


どのくらい獲物を持って帰ってくるか、楽しみね。


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