75話 短い短い夢
馬車へ向かう途中、ノクタリウス様が食堂でメイドに茶を入れるように指示をしているのをちらりと目撃した。話をしていたというし、フィリップ殿下に持っていくのだろう。
馬車に揺られながら考える。
当初の目的、アウレリア様と仲良くなることは、徐々に進行できてると思う。ケイティとはばっちり意気投合できてると思うし、フィリップ殿下とライオネル殿下には未来のことを話せたから対処をいろいろとしてくれている。
今回浮上したラルフさんについても私は関りが薄く、情報も少ない。もっとよく知らないと。現時点で一番影が薄いのはノクタリウス様だけど、ゲーム内の日誌とかもあって不穏。フィリップ殿下に振り回されてるようだけど、国のことやアウレリア様のことについては真剣そのものと言った様子だし。
恋愛関係については、確定してるのはフィリップ殿下とケイティの両想いってところだけね。後はノクタリウス様からアウレリア様への熱愛だけかしら。アウレリア様の気持ちと彼女を支えている騎士のラルフさん、この二人についてもっと知っていかなきゃ。それに、ライオネル殿下を誰が毒殺しようとしたのかも調べて……。
考えていたらウトウトとしていた。短い短い夢。
「その痣、地図みたいでかっこいいな!」
とても嬉しかった。嬉しくて涙が出た。
意識は朦朧としてるけど、誰かが言ってくれた言葉が嬉しかったのだとぼんやり思う。
あれはいったい誰? 知っているような気がする。高い子どもの声だった。
夢が気になってるうちに私は家へと帰りついた。
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