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黄昏のガンダルヴァ  作者: 猫弾正
Z_275年+

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03_70 手入れ

 十月末、寒さは一段と厳しくなった。ポレシャ市の路上でも、ドラム缶で盛んに火を焚く風景と、白い息を吐きながら身を寄せ合う人々の姿が増えていた。


 ポレシャ市の町外れでも、まず路傍で寝たり、毛布に包まっていた者たちが姿を消し、次いで新聞の天幕や布の天幕が片付けられ、ついに泥の小屋からもひと気が失せていた。今年の寒さに耐えきれなくなった下層地区の住人たちは、それぞれに示し合わせて、無料の避難所や簡易宿泊所へと寝床を移していったのだろう。


 冷たい風が、廃墟や瓦礫の並んだ通りを吹き抜けていた。町外れの住人たちは、古着を幾重にも重ねて膨れた姿で路地を往来し、寒波の厳しさに愚痴りつつ、空を見上げては白い息を洩らしていた。食料を運び、或いは廃屋を修繕しながら、冬の到来を畏れるように首を竦める夫婦もいれば、同年代の友人らの無事を祈りつつ、一足早い冬篭りへと入る老人もいる。遊ぶのを許された子供たちだけが、犬たちと無邪気に通りを駆けまわっていた。


 予定より早く移ることに金や食料、薪が足りなくなる住人もいる筈が、今年に限ってポレシャ市が早めに移る場合にのみ、幾らかの補助を出すとの公布を出していた。

 字の読めない住人たちの為、公布係が三日間も通りで声を張り上げ、知らない奴には教えるように叫んでいた。手抜かりの無さに、知らない住人は出ないだろう。


 床にポリスチレンを敷き、壁に毛布を張り付けた段ボールの天幕でさえ、今年の寒さは耐えがたく、マギーとニナも、遂には簡易宿泊所『ザ・フロスティ・ハース』へと移ることにした。徒弟のトリスと部下のジーナ・エクルストンも、今年は一緒で、奥のいい場所に寝泊まりする。ライフルも三丁にクロスボウも持ち込んでいるので、例え、宿泊所に屍者が発生しても、簡単にはやられない。


 頑丈で分厚い建物の壁と天井に囲まれ、外で風が吹き荒れる音を他所に、火のはぜる音を楽しむ生活のなんと文化的で素晴らしい事だろう。

 冬越えの宿泊費は既に払い込み済みだったし、隣人リリーも別の安い宿泊所に移っていたが、案の定、さらに最安値の寝床だったので、友人の誼で少し多めに支払っていた。リリーは余計な金があると煙草や酒に費やしてしまいかねないので、やはり普段から積み立てておいたのだ。これで薪や食事が不足はしても、途切れはしない筈だ。


 下層民にとって、冬越えは常に厳しい。冬の間は、泥小屋や天幕を捨てて、頑丈な廃墟や建物で共同生活が基本となる。食料や薪の節約に、怪物や強盗などに対処する為だが、深夜に屍者が発生すると一転、恐るべき惨事に陥る事態も起こり得る。

 避難所や簡易宿泊所に移っても、普通に亡くなる者も少なくない。それでも人々は、生き残るために必死で工夫を凝らそうとする。


 マギーとニナは、三か月の冬越えに大枚を支払った。少なくとも『ザ・フロスティ・ハース』は、簡易宿泊所としてはそれほど悪くない。寝台は清潔で虱やノミはおらず、壁や床も清掃され、食事は粗末だが量はある。壁は頑丈、奥の部屋では薪も明かりも不足しない。トリスはふかふかのベッドに寝転んでうっとりしているし、ジーナ・エクルストンも、楽しげに外の景色を眺めている。下層民にとって安寧を約束された冬の季節ほど、心安らぐものはない。


 古い木材が軋み、薪の燃える匂いが室内に漂い、寝台からは微かに松脂や樟脳の香りが漂っている。冬の宿泊所独特の匂いに今年もなんとか無事で生き延びられそうだと、人々は安堵の吐息を洩らしながら、長い冬の休みを静かに迎え入れた。これからも薪割や雪掻きが必要になる日もあれば、冬が長引けば、或いは市民街区までの道のりを食料や医薬品などを取りに行く日も来るかも知れない。それでも兎も角、外の寒風や雪の音はすでに壁の向こうへと遠ざかり、室内では薪がはぜる音と、小さく楽器を吹き鳴らす音だけが響いていた。


 さて、快適な簡易宿泊所に移ったマギーたちだが、自宅である段ボール天幕を解体して倉庫に運ぼうとして、ふと思い留まった。

 猫耳のココが気に掛かったのだ。マギーの脳裏には、去年のココの姿が思い浮かんでいた。ガリガリに痩せて、あばら骨が浮き出ていた。今は十月末。春まで残り四か月。去年より長く、厳しい冬篭りにココは生き残れるだろうか?


 セフ衆に悪意や差別があるとは言わないが、ミュータントゆえか。ココは軽んじられている気配がする。一応は仲間扱いして食事も配すれば、寝床も与え、火にも当たらせるだろうが、切羽詰まればどうなる?

 セフ衆は、貧しい徒党だ。商売も上手くいっておらず、ポレシャ市での生活にも上手く適応できないでいる。厳しい冬に物資が窮乏すれば、最初に切り捨てるべきは、誰になるだろう?


「悲劇は嫌いです」マギーが断言した。ニナも頷いた。

 二人は寝床だけ移したけれど、日中は自宅で過ごそうと決める。ふわふわもこもこの防寒服を重ね着している二人は、冬の寒さに対して、まだかなりの余裕を持っていて、ココが顔を見せたら一緒に食事を取るつもりだ。出来れば、同じ簡易宿泊所に泊まらせたい。既に千や二千の金は問題にならないのだが、セフ衆にどんな恩があるものか。猫耳のココは、いまだに首を縦に振らないのだった。




 ※※※※




 ポレシャ市からほど近い廃街区には、荒れ果てた地域とは言え、所々に頑丈な建物も残存していて、そうした堅牢な建築物には、廃墟生活者やら浮浪者ホーボーやらが生活の場にすることはそれほど珍しくない。ただ一方、市に近い場所に隠れ潜むには絶好の場所には、犯罪者の根城になるのも当然に有り得た。


 例え冬を目前にしようとも、法執行官の活動が止むことはない。保安官助手マギーちゃんは、今日も独自に犯罪者の追跡に当たっていた。マギーはしばしば自腹を切って事件を追跡している。保安官の真似事は楽しい。権力を振りかざすことがではなく、犯人の思考を推理して上回り、追い詰めることに快感を覚える。実際に逮捕する際は、市内で信用を得る為と、治安の為のコストだと完全に割り切っていた。


 だから、実際、凶悪犯以外――貧民の生きる為の窃盗などは、見逃したりもする。今回も、知己の伝手を辿って、それなりの報酬を約束して廃地区を捜索させていた。

「マギーの姐御……あれがそうだよ。密造酒を作ってる連中だ。忍び込んで運び込んでるのを確かめた」物陰に潜んだ青年――廃墟の少年徒党の頭目ムーア君がそう囁いた。

「移動はさせてないかな?」助手の助手であるニナが囁くと、ムーア君は頷いている。

「大丈夫なはずだ。一応、気づかれないよう物陰で見張らせていたけど、農民連中に取っちゃ、俺たちなんて虫か、鼠。よくて野良犬みたいなもんだからね。気にしちゃいないさ」監視に気づいた様子はない、と保証してくれた。


 ムーア君に頷きかけながら、マギーは懐から財布を取り出す。報酬を支払おうとしたマギーだが、念の為に手を止めて尋ねる。

「居留地通貨がいい?それとも地区通貨かな?

 望むなら都市通貨でもいいけれど」価値の低い紙幣ほど額面の支払いは多くなる。そして5居留地通貨より6地区通貨の方が、質は劣っても食料は多く換算できる。

 ムーア君が少し躊躇ってから「武器を貰えないかな」口を開いた。

「姐さんたちが使ってるような性能のいいクロスボウだ」真剣な口調のムーア君だが、マギーはやや苦い表情を浮かべて「……ルガリエ製か」呟いた。


 ルガリエの工房製マスケットやクロスボウは、同価格帯では相当に精度が高い。

 30lb(ポンド)から60lb(ポンド)の軽クロスボウでも、廃墟の浮浪児たちに引き渡すのは、やや躊躇われた。

「あんなのが二つか、三つもあって……屍者ゾンビを恐れる必要もなくなる。

 建物から狙い打ちすれば、 二、三匹なら」ムーア君が語った事情は、それなりに切実で切羽詰まってもいた。

「かなり値が張る。考えておこう」マギーは言った。

 ルガリエ製クロスボウは、流れ職工の安物とは違う。安いものでも都市通貨で最低五十はする。それ以下の代物では、屍者ゾンビ相手には役には立たないだろう。屍者ゾンビを倒すには、頭を破壊する必要があった。60lb(ポンド)のクロスボウでも、屍者ゾンビの頭蓋骨を貫通できるかは怪しいところだが、マギーだって調子の良くない日には屍者ゾンビ相手の白兵は避けたいのが本音だ。


 クロスボウを渡すかどうかは、ムーア君の行状を調べてからと決める。とりあえず、ねぎらいながらも、当座の謝礼として百枚ほどの地域通貨をムーア君のポケットに押し込んだ。ムーア君も礼を言ってると、マギーの徒弟トリスが口を挟んだ。

「ムーアの兄さん。礼を寄越せとは言わないけど、親方と繋ぎとったの、あたしだってことを忘れないでね」

「分かってる。この恩は覚えておくさ」とムーア君。静かなやり取りは評価できるものだったが、それだけでは決定には至らない。ムーア君とその手下が、目立たぬようにそっと廃屋の裏手から離れていった。保安官助手と農民――もしかしたら、裕福な自作農の争いに巻き込まれたくないのは、廃墟生活者として当然の人情だろうか。


 肯いたマギーは、改めて新調したズボンを確かめた。 新しいズボン。強靭で暖かく、古いものとあまり変わらない。防弾防刃機能は付いている。古いズボンを下取りに出して、やや性能は落ちるもサイズの小さいものをニナの為に調達した。

 防具を調達した武具商人イリーナ・ゴルシコヴァは、マギーが幾つかの軽クロスボウを調達している件について、武器売買に参入するのではないかとチクチクと嫌味を放ってきたが、地元の知己に求められて必要量を売るだけだと弁解して事なきを得た。


 とは言え、武具商人であるイリーナが神経を尖らせる理由もマギーには理解できるので、自由都市で商売として参入する気はない。余計な武器を下取りに出しても、それくらいだと保証した。一方的な契約は良くないので、イリーナの縄張りは荒らさない代わりにイリーナも、ポレシャ方面には手を出さないと約束させる。マギーは可能な限り、契約を尊重するが、イリーナは違う。狡猾な武具商人にとっては、一時的な勢力均衡の間の不戦条約に過ぎないだろう。


 どちらが正しいとは言わない。兎も角も、約束は約束。荒事を避ける為とはいえ、慣れない愛想笑いを浮かべてまで、冷酷なイリーナの機嫌を取って、煽て褒めそやした己の忍耐をマギーは褒めて欲しかった。


 マギーとニナは防弾ジャケットに、ジーナ・エクルストンはハーフプレートを身に着け、ごつい散弾銃まで抱える。ライフルを背負いつつも、だが、残りの面々は警棒を携えている。殺し合いではないからだ。とは言え、密造酒業者側が反撃してこないとも限らないのが、面倒な話ではあったが。



 ロバの荷車に揺られながら、肥満したローランズ副保安官と手勢――数人の保安官補と民兵、そして信頼できる自警団員らが建物を挟んだ裏手へと到着した。もしかしたら、空振りかも知れないとも告げている。

 捜査では、空振りもまた日常茶飯事であった。その場合、マギーも出動した保安官助手の全員に食事を奢って労うくらいはする予定だ。食料さえも貴重な時代に、己の立場と手下を疎かにしない為、市民の保安官たちは誰もがそうした振舞いを取っている。

 正規居住者である保安官補たちの食事や休息を確保し、任務が終われば笑顔でねぎらう。同じ真似を行えるマギーも、稼いでいる行商人の地盤があってこそだ。案外と出費が嵩むが、それも必要経費としてやむを得ないとも思える。保安官と副保安官が、市民にしか務まらない理由でもあるのだ。


 街路には、遠くで燃えるドラム缶の火が放つ煙と、木材の焦げる匂いが微かに漂っている。見たところ、見張りはいない。

 マギーは息を吐いてから、ショットガンを持つジーナ・エクルストンへと肯いた。突入には何時だって神経を削られる。特に此方は先制攻撃が出来ず、相手が先に撃てる状況では、気を配っても配り過ぎると言う事はない。誰かが死ぬかもしれない。最新の注意を払い、防具を身に着け、人数を揃える手配をしても、馬鹿な跳ね上がりの暴発で、味方の誰かが死傷するかも知れない。それはマギーやニナかも知れず、ジーナ・エクルストンかも知れない。


 冷たい風が瓦礫の間を吹き抜けて、古い板や金属の軋む音が響いた。誰かの足音か、あるいは小動物の気配もかすかに響いている。大丈夫だ。待ち伏せはない。

 理性はそう判断しているが、本能は怯えを嗅ぎ取っていた。そして、先制攻撃したい誘惑に駆られる。法執行官らによる過剰な攻撃が誘発される理由も、分かる気がする。警官だって、恐いに決まっている。

 扉の向こう側に、密造酒業者たちがショットガンやライフルを構えて待ち伏せしている妄想が根を張っていた。しかし、マギーはそれを意識せず、呼吸を整え、耳を澄ませた。ジーナ・エクルストンが壁の横合いに背中を押し付け、錠前に向かって合鍵ショットガンを発砲した。マギーが扉を蹴破った。建物へと一気呵成に突入する。


 建物の内部は薄暗いが、思った以上に広く、天井の太い梁には、巨大な蜘蛛の巣が張っていた。カンテラや窓の光に照らされた床には藁が散らばり、踏み固められた泥に足跡が刻まれている。鈍い足音。


「ポレシャ市保安官!市の保安官だ!取り調べを行う!全員動くな!」誰か声の大きいものが叫んでいた。同時に裏口からも突入してくる。

 マギーは、視線を走らせる。部屋の中央。粗末だが実用的な蒸留器が据えられていた。歪んだ銅の釜に不格好に繋ぎ合わせた管、受け皿代わりの壺。

 まだ熱が残っているのか、微かに甘酸っぱい酒精の匂いが立ち上っている。周囲には大小の樽がいくつも積まれている。縄で雑に縛られた大樽もあれば、口を布で塞いだだけの樽もあった。


 薄暗い影の下、複数の人影が佇んでいた――若い男女が多い。驚愕の表情で立ち尽くしている大半。目を見開き、口を半開きにして、侵入したマギーたちを見ていた。逃げ場を探すように視線だけ彷徨わせてる者もいれば、柱の影や樽と言った物陰に逃げ込んでいる者もいた。反射的な逃避か、反撃の為の遮蔽を取ったのか。マギーにも分からない。一歩下がりかけて、踏み止まり、手を上げてる者もいる。


 血相を変えた一人の男が腰に手を伸ばした。腰縄に挟まれているのは、古い燧石銃フリントロックの短銃。既に装填されているだろう。至近距離。半分、抜きかけている。

「馬鹿が!」顔色を変えたマギーは焦りながら、喚くと同時に思い切り跳んで両足での蹴りを見舞った。実用性の薄い大技だが、棒立ちしていた農夫は躱しきれずに、185cmの両足蹴りをまともに喰らった。吹っ飛んだ男が間近な樽に叩きつけられて、崩れ落ちた。慌てて燧石銃フリントロックのピストルを拾い上げながら、左右に視線を走らせて見廻せば、奥の方で木箱や樽を積み上げつつ、三、四人の男女がライフルを構えている。


 床に伸びた青年をひょいと拾い上げると、盾にしつつ後退するマギー。

「ホルツマン家の皆さん。大人しくなさい!」ローランズ副保安官が声を張り上げると、「ローランズか!くそ!何の権限があって、わしらの作った酒を奪うんだ!」遮蔽を取った人数の中央。恰幅の良い老人が声を張り上げた。

 近隣からの人望もあるホルツマン一家の主なので、流石に撃ち殺す訳にはいかない。

「そう思うなら、自家消費と近隣への販売に留めなさいよ!市内での流通と公的な交易に載せるなら税金払いなさい!」ローランズ副保安官も大きな体躯で物陰に隠れつつ、反論していた。


 物陰に隠れて暫く睨み合う。発砲は、双方ともに抑制していた。互いに顔見知りだっているし、下手をすれば親戚だっている。

 遊牧民やら部族、強盗団と撃ち合うのとは訳が違う。誰だって酒の密造をしたくらいの罪で、隣人たちと殺し合いになんか突入したくない。大半の農夫は、手を上げながら隅に固まっているが一人、すばしっこい奴が、窓から逃げたようだ。どの道、雑魚なので構わないが。


「分かった。罰金で済むのに、撃ち合いをしても詰まらん」老ホルツマンが降参すると、頑張ってた忠実な部下たちも銃口を下げた。

 連行されるも、手錠は掛けない。まるで賓客のように案内される老ホルツマンと部下たちだが、通り際、マギーを見て苦々しく吐き捨てた。

「嗅ぎつけたのはお前さんだな。ラジオドラマで孫娘が楽しみに聞いておったヒーローが、まさか保安官助手に拾われてわしらを苦しめるとは」

「老ホルツマン。多分、キャシディより先にあなたと知り合ってたら、ここで保安官たち相手に大暴れしていたと思うよ」そこそこ本気でマギーが告げると、「世辞を言いおって」吐き捨てた老ホルツマンは、しかし、まんざらでもなさそうにニヤリと笑ってから、連行されていった。他には妙な動きをする者はいない。


 残った保安官補や民兵、自警団らがバールやらを取り出した。樽を割り始める。「ああ、勿体ない」誰かが呻いたが、誰も手を止めなかった。

 叩き割られた樽の隙間から、琥珀色の液体が床に溢れ、藁屑と地面を黒く濡らしながら広がっていった。甘い匂いが立ち上り、先刻までの緊張とはまた別の、腹の底を刺激するような香りが嗅覚を刺激する。

 賞金稼ぎ時代とは違うのだ。法執行官が密造酒を持ち帰ったら、横流しとなってしまう。

 それでも、まあ、一口、二口をこきしめる奴はいるようだが、金を出せば、物が幾らでも手に入った20世紀とは違う。取り締まりも終わった後を任されたマギーも、黄昏の時代にそこまで煩い事を言おうとは思わなかった。雪解け水を運び、或いは貴重な井戸水を使って醸造された酒は、誰が飲むでもなく、ただ床に吸われていった。


 マギーは視線を逸らした。これで三つ目。密造酒の製造が絶える事はけしてないだろうが、派手にやっていた大手の製造業者は、おおよそ片付いたと言って良い。

 掌に吹き出ていた冷や汗を拭う。キャシディも、これで少しは楽になるだろうか。



―――――――――――


十月下旬_9598都市通貨 800都市通貨で新装備



 リリー 1D100 87 高いが無事に冬越え。色々と手厚くしてたし、差し入れもしたので、5人に1人が亡くなるくらいの安宿でも生き残れる。



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― 新着の感想 ―
厳しい冬越えが近づいてきましたね。 そういえば特に描写はありませんでしたが、陛下の一党は劇場跡の銭湯って拠点を手に入れたので、今はポレシャで越冬してるんでしょうか? ホルツマン一家は有力農民みたいな…
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