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牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第12章

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第12章-32 王都との違い

 「ですが、ここの街はそれほど多くありません。俺も古着を買うのに利用しますけど、布地を買って自分で服を仕立てることも多いです。うちは冬でも動物たちの世話があるので、やりませんが、糸を買って布を織り、そこから服を仕立てることもあると聞きます。それを着倒しますから、まあ、古着はあまり質が良くないものもおおいです。でも、フヨウさまの服なら、何度か袖を通したと言っても、それほど痛んではいないでしょう。この街にはたぶん、それを取り扱う店がありません」


 「え、まあ……」


 ライモンの言葉に、フヨウは驚いたように手を口元に当てた。


 「まあ、どちらにしても、俺の想像なんですけどね。たぶん、間違ってはいないかと」


 苦笑して、ライモンは先を続ける。


 「王都ならば、フヨウさまの服は引き取り手がいるでしょう。貴族の人とか裕福な商家とかも多いんでしょう、王都は。でも、この街はこのあたりでは一番大きい街ですが、貴族と言えばご領主さましかいません。仮に古着屋がフヨウさまの服を買ったとしても売るところがないんです。確か、今、ご領主さまのところに、フヨウさまと同じ年ごろの若い女性がいないと思いますし、他の領地のことはわかりませんが、わざわざ持っていく手間をかけるかどうか」


 フヨウは軽くうなずいた。


 「ええ。俺は王都に行ったことがないから、ここの何倍もの人がいて、フヨウさまの服を買う人もいるだろうな、とは思いますが、これは想像でしかないんですけどね。でも、昨日見たフヨウさまの服なら、憧れる人は多いと思いますけど、この街とか近隣の人が買えるかと言うと、多分無理です。だから、それがわかっていハナナさんのお孫さんは服をもらわなかったんだと思うんです」


 「そうなのですね……」


 ほうっと、フヨウはため息をつく。


 「わたくし、そのようなこと、思いもしませんでしたわ。王宮では侍女たちが喜ぶので、下げ渡すのが慣例となっていて、それがここでも通じると思っていました。ですが、場所によっては喜ばれるものが違うのですね。勉強になりましたわ」


 「そうですね、フヨウさま」


 ライモンは笑って彼女にうなずきかけた。フヨウははっとしたように彼を見つめる。


 「俺たちは、自分たちがどれほど小さな場所で生きてきたか、ようやく知ったばかりです。この広すぎるほど広い世界の中で、どれほど狭い場所だったか。俺もあなたも、ようやく世界の入り口に立った。知らないことがあっても、当然なのかもしれないです。でも、これから知っていけばいいだけのことではないですか」


 「ええ、そうですわね」


 眩しいものでも見るかのように、フヨウは少し目を細めた。それから口元に笑みを浮かべる。


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