表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
牛飼いと守護精と  作者: 久保 公里
第12章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

540/621

第12章-11 覚悟

 一同は、背筋に冷たいものが下りていくような心地がした。


 特にハシドイは、フヨウを除くほかのものと違い、王都で常日頃から守護精の話を聞いている。


 その中には、主を殺された守護精がどこまでも犯人と、命を下したものを追い、一族郎党もろとも復讐するというものも、含まれている。


 目の前の次代はまだ少年のように見えるが、それでもまごうことなく宝剣の守護精なのである。おのれの主を害そうとしたものに、容赦するとは思えなかった。


 ハシドイは、ごくりとつばを飲み込んだ。しかし。


 「ですが、どのようにして見張っておられたのですか。四人をおひとりで見張るなど無理でしょう」


 アオヤギが素朴な疑問を口にした。彼は、目の前の少年が次代だとわかっていても、その姿のままの少年としか見えないのだろう。


 その言葉に、モエギはゆっくりと彼を見やる。


 「私は、宝剣の守護精です。波動を操るものですよ。彼らがどこで何をしようと、私は手に取るようにわかります。万が一、逃げ出そうとしても、それを阻止することくらい、造作もないことです」


 モエギは再び微笑んだ。だが、それはどこかアオヤギを拒絶する笑みにも見える。そんな笑みを、ライモンは見たことがなかった。


 「し、失礼いたしました」


 アオヤギは口ごもって一礼した。どこか、怯えたようでもある。


 「守護精さまは波動師さまでもあられるのですね。存じ上げず、よしないことを申し上げました」


 「このあたりには、あまり守護精についての話が伝わっていないのでしょう。気にしておりません」


 モエギの言葉にアオヤギはうなずいて、アカガネに向き直る。


 「ですが、我らは波動師ではございません。ただの人の子です。罪人に逃亡の恐れがある以上、拘束させていただきます」


 「ああ、それが妥当だな」


 アオヤギの硬い声に、アカガネはうなずいた。そうして、彼は両手をこぶしに握り、そのままアオヤギに向けて差し出した。覚悟はすでにできている。


 覚悟ができていないのは、むしろアオヤギのほうだった。差し出された手を見ながら、どうすることもできずに、わずかに震えているかのようだった。


 「アオヤギ、悩むことはない。おまえは私を連行するためにここに来たのだろう」


 「……団長……」


 アオヤギは一度だけ頭を振った。それから顔を上げて、まっすぐにアカガネを見つめた。


 「アカガネさ……、いえ、アカガネ、フウ、ソウ、ゲン、次期さま襲撃の罪で、連行します。おとなしくついてきなさい」


 アオヤギがそう言うと、アカガネはうなずいた。


 領主館のものだと思われる騎士のひとりがアカガネに近づき、かすかに震える手で彼の手に縄をかける。かすかな声で誤っているようだった。それにアカガネは小さく首を振って応えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ