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鬼VS天使③

 俺は、かすみにレイの無事と、これから、新幹線で帰ることを伝えた。それにしても、世の中は広い。俺が世界一強いと、馬鹿みたいに粋がっていた自分が恥ずかしい。浮かれた精神を鍛え直さなければならない。善の神が、俺の想像を遥かに超える強さと力を持っているのが分かった。ならば、同じように悪の神、つまり悪魔の力も侮ってはいけないということだ。俺は舐めてかかってきたと思う。今まで勝ててきたのは、たまたま俺より弱い相手だったに過ぎない。自分勝手な想像だけで、判断するのは止めよう。俺には仲間がいる。心強い味方がいるのだ。聞くのは恥ずかしいことではない。アドバイスを素直に聞き入れるようにしよう。気になるのは『キング』だ。まずは、情報集めからスタートだ。

 レイちゃんは、隣の席で眠っている。この子には、どんどん味方が集まってくる。

『味方になって下さい』

と頼んでいるわけではないのに、自ら名乗りを上げて、仲間に加わるのだ。みな、純粋な心に魅了されるからだ。能力を高めてあげること、ただし、今回のような危険な目に会わせてははいけない。絵本を読んで、豆で鬼を倒せるのかどうかを確かめる。その純粋な気持ちは、伸ばしてあげたい。子育ては難しい。ああ、俺の子供ではないけど。家に戻れば、立場が逆転。俺が育てられる立場になってしまう。難しい、難しい。


 大宮の家に着くと、レイはかすみの胸に飛び込んでいった。

『ママあ、すごいのに会ったの。大きいのと、顔が3つに手が6本のと、あとキラキラしてて、手がいっぱいあるのと、みんなすごいの。』

普通の家庭なら、「ああ、夢でも見たのね」で済むはずのことが、事実だから大変だ。

『そう。それは楽しかったね。でも、みんなに心配させてはダメだからね。』

『うん。大きいおじちゃんにも同じこと言われた。だから、もう一人で知らないところに行ったりしないよ。』

かすみはレイを抱きしめた。奥から彩先生も出てきた。

『何してるのヒロ君。言われないと分からないの。早くしなさい。』

ああ、やっぱり、そうなるか。俺は、いつものベビーに戻った。

『彩姉ちゃん、抱っこしてぇ。』

俺は彩先生の足に絡みついた。

『最初から、そうすればいいの。ほら、おいで。』

俺は彩先生に抱かれ、レイちゃんはかすみに抱かれ、ソファーに座った。

【キング】気になる。ネーミングからして、ボスキャラに違いない。そんなこと考えていたが、彩先生が膝の上で、ゆっくりと、ゆらゆら揺らすものだから、睡魔が襲ってきた。悪魔より、睡魔の方が強い。俺は睡魔には勝てなかった。

 彩は、眠っているヒロを見ていた。

『ヒロ君は、また成長してきたようね。そして、さらなる仲間も増えたようだわ。千手観音は、伐折羅大将を超える神よ。しかし、彼は修行中の神、つまり「菩薩」だわ。頂点に君臨しているわけではない。盧遮那仏は、「如来」。修行を終え、悟りを開いた神。神々の中で頂点に君臨している宇宙神。ヒロ君は、千手観音に驚いていたようだけど、むしろ驚いていたのは、千手観音の方かも。そして、きっと、ヒロ君が盧遮那仏として目覚めることを楽しみにしているはずたわ。』

 彩はヒロのおでこにキスをした。

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