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鬼VS天使①

 もう、どうしようもなくレイちゃんは優しい。

『ちひろちゃん、レイ姉ちゃんがいないと、何も出来ないから、レイが全部やるね。』

『あっ、よだれ出てるよ。拭いてあげる。よだれ掛けしようね。』

『ミルクの時間よ。作るね。』

『レイが飲ませてあげる。』

『はいはいの練習しようね』

『頑張って。上手、上手。』

『疲れたね。お昼寝よ。ねんねしようね。』

『起きたのね。あら、おねしょしちゃたの。オムツ変えましょうね。』

『レイ姉ちゃんが、絵本読んであげますね。』

『汗かいたから、お着替えしようか。』

『オシッコの練習しようか。ここで、シーして。』

『お利口ね、ちゃんとオマルで、出来たね。オシッコしたくなったら、ちゃんとレイ姉ちゃんに教えるのよ。』

『ちひろちゃん、可愛い。大好き。』

なんて、優しいんだ。心と体が癒される。レイちゃんは天使のようだ。

俺、3歳の子供に、甘えていいのかなあ。実際、甘えるのが心地よくなっている。かすみに甘えるのとは、ちょっと違う感情だ。


 こんな純粋な女の子が、おれの真似をして、瞬間移動の技を覚えてしまった。一つ間違えれば、とても危険だ。大阪の新世界美しの会に、やって来たと聞いて、俺はぞっとした。あのとき、鬼が二体、伐折羅大将に女羅刹、さらには小さな悪魔。そして奴らに利用されていた人間。そんなところに、やって来てはダメだ。他にも危険がある。もしも、瞬間移動したところが、道路であれば、移動した瞬間に車に轢かれる場合もあり得る。危険と隣り合わせの能力なのだ。きちんと説明すれば、分かってもらえると思う。頭のいい子だから、理解してくれるはずだ。しかし、念には念を入れておかないと、俺は、ウイルスサイズの分身仏を二体、レイちゃんの警護ように見張らせることにした。レイちゃんは、行動力がある。思ったことは、すぐに実行に移す。本当は、とてもいいことなのだが、今の置かれてる環境を考えると、安心はできない。

 そして、俺の悪い予感は当たってしまった。


 かすみにお風呂に入れてもらっている。一番、甘えられるときだ。

『ママあ、おっぱい。』

俺は、かすみの乳首に吸い付いた。夢中で吸った。少しだけど、ミルクの香りと味がする。本当なら、完全に勃起するんだろうけど、今の俺には勃起するものがない。というより、女の子の体でいるときには、そういう感情が湧いてこない。性というのは不思議だ。

お風呂から出ると、体が暑くて、しばらくは裸で放置。ベビー服を着させてもらい、ミルクを飲ませてもらうと、もう睡魔に勝てない。かすみの体の上で眠ってしまった。

夢の中で誰かが呼んでいる。

『主さま、主さま。レイちゃんが瞬間移動しました。私達も一緒です。』

俺は、目が覚めた。分身仏からの連絡だ。レイちゃんはどこに移動したのか。分身仏に聞いた。場所は、大阪。この前の「新世界美しの会」だ。なぜだ。レイちゃんのことだから、何か理由があるに違いない。俺もすぐに行くことを伝え、分身仏には、レイちゃんを守るよう指示した。


『鬼さん、鬼さん。一番強い鬼さん、出てきて下さい。鬼さんに、お願いがあります。出てきて下さい。』

レイは、新世界美しの会の一番奥の部屋で、お祈りをしていた。レイの純粋な心は、神にも、悪魔にも響きやすい。すぐに、大地が引き裂かれる音がし始めた。建物が揺れている。部屋の明かりが、一瞬消えた。すぐに、明かりは点いたが、部屋中、煙で覆われてしまった。煙りの中から、大きな物体が現れた。レイは恐ろしさより、興味が湧いていた。見たことのない体をしている。身長は5mくらいはありそうだ。何より変わっているのは、顔が3面あり、腕が6本あることだ。レイは願いが叶ったと思った。

『お前か、わしを呼んだのは。』

『そうよ。私、レイって言うの。よろしくね。』

『お前、わしが怖くないのか?』

『変な顔してるけど、怖くないよ。だって、悪い鬼さんには見えないもん。それに、レイには強い味方がいるから、平気だもん。』

『ほう、わしを怖がらないとは、なかなか立派だ。褒めてやる。それで、わしに何の用だ。』

『一番強い鬼さんに聞いて見たかったの。』

怖くないと言っているが、足が震えている。当たり前の話だ。見たことのない化け物を相手にしてあるわけだから。

『えい!えい!』

レイは、何かを投げつけた。

『お前、何をしてる。』

『鬼は〜外。鬼は〜外。』

レイは、豆を化け物に投げつけていたのだ。

『そんなものなんの役にも立たないぞ。貴様、それだけのために、わざわざ、わしを呼びつけたのか。』

『絵本には。退治できるって書いてあったもん。えい!えい!』

『ふざけた小娘だ。許さん。』

化け物の6本ある腕の一つが、レイを捕まえようとした。

「ズガガガガーン‼️」

レイの両脇に分身仏が現れた。

『レイ様に手を出さないで頂きたい。ご無礼は、謝罪致します。』

『なるほど。お前らが、この娘の味方か。お前ら、強いんだろう。強い奴は好きだぞ。なぜなら戦いがいがあるからな。小娘には手を出さないことを約束しよう。その代わり、お前ら覚悟しろ。』

 分身仏二体と化け物のにらみ合いが続いた。分身仏の後ろで、レイが目をつぶっている。少しだが、その体からオーラが出ている。黄金のオーラだ。分身仏もオーラを出し始めた。

『お前ら、何者だ。そのオーラは只者ではない。久しぶりに、楽しい戦いになりそうだ。面白い。』

化け物もオーラを出している。なんと、こちらも黄金のオーラだ。化け物が戦闘体勢に入ったときだ、二つの光が輝いた。一つ目の光から出てきたのは、もう一人の分身仏。いや、俺だ。

『待たせたな。お前らは、戻れ。』

分身仏が俺の体に戻った。

『あっ、本物のぼんちゃん。』

『何があったか知らないが、お前とは戦いたくない。このまま帰ってはもらえないか。そうでないと、俺も本気を出さざるを得ないぞ。』

『本体の登場って訳か。俺は強い奴と戦うのが好きでな。死ぬ気でかかってきな。』

そして、もう一つの光からも、誰かが出てきた。

『阿修羅、止めるのだ。あの方は敵ではない。オーラと目をよく見ろ。私の言ってあることが分かるはずだ。』

光から出てきたのは、伐折羅大将だ。

『伐折羅、何をぬかす。奴の目だと。腰抜けが、、、あっ、こ、こ、これは。まさか、あのお方は、、、。』

『そうだ。私も最初は、同じように驚いた。何千年もの間、お待ちしていたお方だ。仮に何度戦っても、お前に勝ち目はない。』

『分かった。戦うべき相手ではない。それにしても、その小娘は何者だ。伐折羅は知っておるのか。』

『いいや、知らぬ女だ。しかし、我らと同じ黄金のオーラは発している。あの子も神に違いない。』

伐折羅大将が俺に近づいてきた。

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