海
季節は夏に入り、もうすぐしたらどの学校も夏休みに入る。
しかしその夏休みに入る前には必ず期末考査というテストが存在する。
中間は5教科たったが、期末はそれに音楽と家庭科・体育等が加わって
覚えることが増えて苦しくなる。
「あぁ~またテストかぁ。だりぃ、やりたくなーい」
「東間、それは無理だ」
現在は昼休み。櫻田達は屋上でご飯を食べていた。
ちなみにメンバーは、櫻田・東間・畑本・稲井の四人である。
「あぁ~もう勉強やりたくなーい」
「でも、やらないと夏休み補習になるぞ?」
「それはいやだー」
「じゃあ、やれよ」
「道久君、櫻田が冷たいよー」と東間が隣にいる道久君にすがりつく。
今日の東間は暑さのせいかどうかしているように見える。
櫻田はそう思った。なぜなら自分もこの暑さでぼーっとしているからだ。
気が付けば何をしようとしていたのかすらも忘れるぐらいに、朝からこの
調子が続いている。
「みゆきちゃん、あつい…」
「やっぱり教室で食べた方がよかったね。いくら天気良くてもこの暑さじゃ
…」
櫻田や東間だけじゃなく、全員が暑さにやられてしまい正常な判断が出来なく
なってしまっていることにようやく気が付いた。
それからお昼を食べ終わり、すぐに屋上から出て涼しい各自の教室へと
戻ったのである。
「あぁ、暑かった~もう、汗だくだ」
「こんなに暑いと、海にでも入って泳ぎたくなるよね?」
「海…?」
櫻田は、稲井の発言に敏感に反応した。
「ん?どうしたの、櫻田さん」
「いっ、いや…なんでもない」
「そう?」
海だなんて死んでも入りたくない。と櫻田は思っていた。
なぜなら、彼女は泳げないから。
小さい頃におぼれて以来、怖くなって海やプールなどはプライベートで
絶対に行かない。学校での授業では、あまりにもひどすぎて意地でも入りたく
ないと夏休みの補習を受けたりもしていた。
しかし、この学校には体育があってもプールはないため彼女にとっては
天国だった。泳げなくても人間は陸で生きられるから大丈夫!と、彼女は
心でそう叫ぶのであった。
放課後、いつものように櫻田は少人数教室へと向かった。
「だから、海行こうぜ。海」
「木崎。そういうことは期末考査が終わってからで…」
「いいじゃねぇか。…ん?おぉ、地味子」
「いったい何の話をしてるんです?」
「夏休み、皆で海行こうぜって話」
「海っ!??」
櫻田はまたしても敏感に反応する。
それを見た二人は櫻田に対して「どっ、どうした?」と心配そうな顔で
見てくる。
「あっ…いえ。なんでもありませんよ」
「木崎。さっきも言ったが、期末が終わってからでも決められるだろ?
今はテストに集中しろ」
「こんなくそ暑いんだから、海行きたくもなるだろうがっ!?俺は夏休み
に入ったら絶対海行く!地味子、お前も協力しろ」
「断る」
「なっ、なんだとっ…」
櫻田が木崎に対して反抗的な態度を取った。
いつもの櫻田なら木崎に対してまだ不良という印象が残っているため、
彼に対してはまだ敬語で話していたが、海の話を聞いて態度が一変。
初めて見る櫻田の本性に振れて、木崎は混乱した。
宮間はその様子を見てなにかを悟ったのか、「木崎、始めるぞ」と
彼に言って勉強会を始めたのであった。




