第九話
この学校にはかなり広い屋上庭園があった。
五年前に初めて来た時、草は伸び放題で荒れていたが五年かけてようやく綺麗になった。
給水塔についているはしごをのぼり学校で一番高い場所に寝っ転がった。
忘れかけていた元の世界の未練が明日香が来たことによってまた膨らみ始めた。
戻る手段などなく、たとえ戻ったとしても孤独を味わうだけだ。
本当はみんなで天音がいなくなった年にワープし、記憶を回復させる。
そしてそのまま通常通りに生活を送りたい。
でも実際そんな方法は検討もつかない。
それ以前に天音は元の世界に戻ることを望んではいない。
ここに残るのか、それとも天音を置いて元の世界に戻るのか。
心の中で葛藤が続いた。
それを忘れようとしてただひたすらに庭園の手入れをした。
20分後
「キィー」
と扉の軋む音とともに明日香が庭園にやってきた。
「何しに来た?」
「恐っ!!せっかく彼女が来てあげたのに。」
「天音が行けって言ったのか?」
「大体はあってる。」
「それで目的は?」
「事情聴取ってところかな。」
「結局二人して分かってくれなかったか・・・」
「推測だけど騎士の気持ちは大体わかる。」
「・・・」
「やっぱり元の世界に戻りたいんでしょ?」
「・・・」
「でもさ、楽観的に考えようよ。
ここで楽しく生活すればいいじゃない。」
少し苛立ちを覚えた。
「ホントにそう思ってるか?」
「どういうこと?」
「未練はないのか?」
「あることにはあるけど・・・」
「俺はもっと明日香といろんな場所に行きたいし、あの約束だって果たさないと・・・」
「親友との最期の約束だもんね。」
「そのためにも絶対に戻らないといけないんだ。」
「そうだよね。だけど・・・」
「そんな簡単に諦められることじゃねーんだよ!!」
つい声を荒げてしまった。
「・・・」
明日香はかなり驚いた顔をしていた。
やっと我に返った俺は
「・・・ごめん、大声出したりして…」
と言った。
「ごめんね。」
「とりあえず帰ったら?ここ寒いだろうから。」
「うん、戻る。」
「じゃあね。」
「何言ってるの?騎士君も戻るの。」
「いや俺はまだ庭園の手入れが終わって・・・」
と言い終える暇もなく明日香に手を掴まれていた。
「ほら早く!!」
と強引に俺の腕を引っ張っていった。
校長室
「天音ちゃん、連れて帰ってきたよ。」
「ホントですか?」
「うん。」
黙って入ると天音が一瞬俺の方を見たがすぐに明日香の方に体を戻した。
しばらく沈黙が続いた。
「よし、お風呂沸かしてくる。」
その沈黙を破るように明日香が言った。
「いいよ、俺がやるから。」
「いいから騎士君はここにいて。」
「じゃあ私が・・・」
と天音が言うも
「さっきやり方は教えてもらったから。」
と譲ってはくれない。
「でも結構重労働だぞ?」
「大丈夫、なんとかなるよ。」
と言って出ていった。
室内には当然ながら俺と天音のみしかいない。
(気まずい・・・)
「・・・ねぇ・・・」
と徐に天音が話しかけてきた。
「(メ・ん・)?」
「明日どうする?」
「俺はThe place that controls world timeに行く。」
「やっぱりどうしても戻りたい?」
「戻りたい。」
「どうして?」
「俺は親友との約束を果たさないといけないんだ。」
ずいぶんと間が空いてしまってごめんなさいm(_ _)m
これからもよろしくお願いします。
また引き続き皆様からのコメントをお待ちしております(>人<;)




