殺意と蹂躙
いや、本当に間に合って良かった。もしダリアに何かあったらと思うと不安でしょうがなかった。
場所の指定も森としか書いてないから探すのに時間がかかったけど、手を出される直前に助ける事が出来てホッとした。
あの置き手紙を見たときは怒りの感情が強かったけど冷静になると早くダリアを見つけ出さなきゃと焦った。
でも本当にかろうじて間に合って良かった。
「チッ、人質が」
「人質?」
ダリアの無事に安堵していた僕の耳に声が響いた。
彼女は人質にするために誘拐されたのか。いや、でも誰なんだコイツ?
ま、コイツらが誰かなんてどうでもいいか。
だって、誰だろうがダリアに手を出した時点で全員殺すって決めてるし。
「まぁ、あんた凄い弱そうだもんね」
「あ! 何だと! どいつもコイツも俺をバカにしやがって!!」
「跪いて謝るなら殺さないであげるよ」
ま、普通に嘘なんだけど。
「テメェ、状況が分かって無いのか?」
「あんたが弱くて服もダサいってことしか分かんないけど?」
「あ! 舐めてんのか! こっちには50人の手下が居るんだぞ」
「手下がどうとか人質がどうとか言ってる時点で自分の弱さを証明しているようなもんだよね。それともお友達が出来て良かったでちゅねーって褒めてあげようか?」
「ぶっ殺す! やれお前ら」
僕とダリアを囲むようにたくさんの下っ端が出てきてこちらに突っ込んでくる。
「ファイヤーストーム。まずは雑魚を片っ端から殺すか」
「ウァァァァ!」
こちらを囲んでいた下っ端全員に炎の嵐が襲いかかる。
「熱い!!」
「誰か助けてくれ!」
「何とかしてくれボス!」
炎に焼かれた下っ端たちから苦痛の声が響く。
まぁ、ダリアに手を出したんだからしょうがないよね。
それにコイツらはどうせ犯罪者の集まりでしょ。
「確かに凄い威力だが、魔法の制御をしなければ行けないテメェは隙だらけだ!!」
そう言って奴は剣をこちらに振り下ろしてくるが結界を張ることで防ぐ。
「クソ!」
「別にあんたの攻撃ぐらい魔法を維持しながらでもいなせるよ」
普通にファイヤーストームを打つだけなら維持なんて必要ないけど、今回は相手に灼熱地獄を味わせるために魔法を継続して放つ必要がある。
面倒くさいから多分もうやらないけど。
そして、そろそろ下っ端たちもこんがり焼けて骨になっているころだ。
「チッ! 俺の手下が!」
大方の手下は再起不能になった。
「これで僕も万全の状態で戦えるわけだ」
「クソ! こうなったら!」
「奥の手でもあるの?」
「なに!! 転移が出来ないだと!!」
うん、知ってた。
転移のスキルを封印したのは僕だし。
最初に鑑定してテレポートってスキルがあるのは分かってたからね。
ちなみにこれが奴のステータスだ。
ステータス
[ 名前 ] オルゼフ
[ レベル ] 135
[ 体力 ] 520
[ 魔力 ] 540
[ 攻撃 ] 650
[ 防御 ] 580
[ 魔攻 ] 525
[ 魔防 ] 642
[ 素早さ ] 756
[ スキル ] テレポート
とはいえ、僕がスキルを封印出来るのは15分だけだから早めに始末をつけないと。
とりあえず相手が動揺している間に転移で背後から聖剣で攻撃をしてみる。
「グァァァァァ!」
オルゼフは避ける事が出来ずに右腕を切り落とされた。
やっぱり転移で背後に移動して聖剣で攻撃するパターンは強いな。
「バカな! 転移だと! コイツもテレポートのスキルを持っているのか!」
この場面で自分の必殺技を相手に使われたら動揺するしショックかもね。
「スキルじゃ無くて魔法だけどね」
「転移魔法だと! ほとんど使える人間のいない魔法じゃねぇか!」
転移魔法の使い手って少ないんだ。
まぁ、とりあえずもう一回転移で背後から攻撃するか。
「二度も同じ手を食らうか!!」
「残念」
「グゥァァァァ!!」
僕が転移したタイミングでその場を離れたけど向こうは手負いで、さらにステータスもこちらの方がかなり上。
そのまま転移した場所からオルゼフに突っ込んで聖剣で右足と左手を斬り落とした。
ここからどうしようか。
最初はなるべくいたぶってやろうと思っていたけど、ダリアが無事だった安堵から怒りはある程度は収まった。
それに下っ端の悲鳴を聞いていたからそれで満足した部分もある。
でもダリアにトドメを刺して貰えば経験値が彼女にも入るのか。
「ダリアが嫌じゃなければ何だけど、トドメを刺してもらってもいい?」
嫌なら別に強要するつもりは無い。
「私の自由にしても良いんですか?」
思ったより乗り気だな。
「うん」
「分かりました」
彼女はオルゼフの元に向かって行く。
「クソ! こっちに来るな!!」
「うるさいです」
そう言ってダリアは躊躇なく短刀を残っている左足に刺した。
「ウッ!!」
「私の予想通りあなたの負けですね」
「お前ごときが俺を殺すというのか!」
「はい」
そうしてダリアはトドメを刺した。
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