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毒・毒・毒!!  作者: マネージャー
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先制攻撃するのは……



 ブラック会社の朝は早い。会社に泊まった方が睡眠時間が多く取れるぐらい……じゃなく、そんな事をしなくても良いんだった。習慣というのはなかなか抜けるもんじゃないな……



「少し早めに起きるつもりではいたけど……二度寝は止めとくか」



 睡眠三時間。今は朝の五時過ぎなんだけど、【求】をするために早く起きた。というのも、平日の朝はプレイヤー数が少ないのでは? と思ったからだ。



【空気のような存在】で他プレイヤーにバレにくいかもしれないが、敵の遭遇やアイテムを手に入れる確率も変わってくる。誰かがエリアボスと戦闘時、それが終了するまで待たないと駄目みたいだし、素材が落ちていたとしても、他プレイヤーが取れば無くなってしまう。多人数で戦闘するボス等例外はあるんだけど……



「まぁ……誰にも知らない間に強く、【毒】の職業が凄いところを見せたいからな」



 とある掲示板で【狂戦士】が上位プレイヤーを倒した話題になっていた。俺が【求】を始めたのと変わりはなく、初日で起きた出来事のはず。【狂戦士】を選べてたらと思わなくはないが、対抗心が少し芽生えてしまった。その掲示板でも、名無しの毒と名前を付けてしまった程に……新しい掲示板で誰もツッコミを入れてくれなかったけど……



「まずは【キノコ採取】のクエストを終えてからだよな」



 VRゴーグルを装着して、馴染みの痛みから【求】の世界に入る。そこはログアウトした【イチバン】の街の中。道具屋の目の前からのスタート。



【キノコ採取】のクエストは道具屋が依頼してきて、【原初の森】と場所が設定されている。



「プレイヤー……どころか、NPCも姿もあまり見掛けないな。こっちも早朝なのか?」



 現実と【求】の時間が連動してるわけじゃない。五時間で朝と夜が切り替わる。今回は朝を迎えようとする時間帯にログインしたみたいだ。道具屋もこの時間では閉まった状態だ。



「だからって……街の門が閉まってるという事は……ないよな」



【原初の森】は【イチバン】の正門からじゃなく、裏門から行ける。そうでなければ、【毒】の職業がいなければ、先に進む道が無くなるのは今更気付いた。勿論、前回同様に兵士達が入口を守っている。門は閉ざされている事はない。



「……兵士が代わってる? ずっと同じNPCがしてないのはリアルに作られてるな。守るといっても、【原初の森】には敵なんていないんだけど……」



 死んでも戻る場所は【イチバン】だけど、兵士達に一度倒されてるから、警戒してしまう。【空気のような存在】で顔を覗いてもバレはしなかったが、別人だった。ずっと立ち続ける過酷な労働ではなかった事に安心するのは俺だけか?



「俺が通った道も一応確認しておくかな」



 キノコ類を見逃してた可能性はあるし、薬草が復活してたら助かる面もある。回復のスキルがない以上、HPを回復するのは道具頼りになるわけだからな。



「……っと!! 敵はいるんですけど」



 キノコを食べている芋虫みたいなのを発見。その大きさは俺の高さ半分以上、一メートル弱はあるんじゃないか? そんな虫なんて魔物以外考えられないだろ?



LV1 【モリンコ】 詳細???



 そう思ってると、相手の名前とLVが表示された。HPとかは戦闘しないと判明しないんだろうな。下手すれば、相手がスキルを使用しないと表示に追加されないかも。なんせ、毒スキルの一つに、相手から受けないと駄目なものもあるんだからな。



「モリンコがこっちを……って、気付かないのかよ」



 俺と【モリンコ】との距離は十メートルぐらい? 不意にモリンコが警戒するように、周囲を確認するけど、俺の存在を素通り。木々に隠れていたのかもしれないが、パッシブスキルの【空気のような存在】が敵にも発動してるんだろう。なんせ、『先制攻撃率が80%』だからな。



「キノコを食べてるって事は、あの場所にあるわけだ。LV1という事もあって、芋虫でもぬいぐるみにありそうな姿をしてるか」



 集めた可愛い魔物で対戦する【バケモン】というゲームにもいそうだ。LV1でグロそうな虫だったら、新規女子プレイヤーは離れていくかもしれないのを考慮したのかも。



「【求】での戦闘が先制攻撃から始まってもいいんだろうか……最初はチュートリアルみたいな形で……【毒(付与)LV1】があったとしても、一撃で倒せるわけもないよな」



 剣士なんかの前衛、攻撃職ならまだしも、力と武器【木彫りナイフ】の合計値が+4しかないから。反撃されても、HP20と最初のPPを全部振り込んだから大丈夫のはずだ。



 ソロリ、ソロリと前進。気付かれてないといっても、十メートルも距離があるわけで、何処から戦闘開始になるか分からない。【木彫りナイフ】は装備扱いになってるけど、出現してないし。念のために吸収缶を外して、左手には薬草を持っておこう。



 五メートル程まで近付いたか? 右手に【木彫りナイフ】を持った形になった。そうなると、後は攻撃を仕掛けるだけ。声で反応する可能性があるかもだから、掛け声はなしで……



「でっ~!!」



 掛け声じゃなく、叫び声。誰かの声じゃなく、俺自身の声。



 まさかの別方向からの攻撃!! 【求】はHPの減少で体が鈍くなっていくのと同じで、ダメージに対する痛みもフィードバックされる仕組み。流石に限度はあるけど、度合いによっても変わってくる。



『チュートリアルを開始します』



「このタイミングで!! 文字が邪魔で集中出来ないだけど!!」



 敵の攻撃で一気にHPが2にまで減少した。【薬草】をすでに用意して正解だったわ。俺は敵の正体を確認する前に、【薬草(食用)】を口に入れた。

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