道案内するのは
「そんな気はしてたけど……ポイも成長するためだと自覚してるのか?」
「毒が欲しいって気持ちはあるよ。動きやすくなったとも思うけど、成長なのかは分からない……」
ポイ自身には自覚がないのか……言葉や髪型だけじゃなく、体が動きやすくなったのなら成長はしてると思うんだけど……以前はもっと動けてたわけじゃないよな?
「彼女の事はいいだろ。ここが下水道の入口なら、早速入ろうじゃないか。ここにいても、ガルーダを倒せるわけじゃないんだからな」
下水道の入口は住宅街の一番端にあるゴミ捨て場……というより、無断で放置された廃材や壊れた武器が置かれた場所。立入禁止の札も立てられている。そんなのがあると逆に怪しく感じる……というのが正解みたいだ。
「ヤク中の目が回復しても、私が戦えるわけじゃない。それも下に行けば、話は別になる。野盗達はこの場所を知らないのなら、逃亡劇はここで終わりだ」
廃材の中にある、壊れた梯子が地面に突き刺さっているんだけど、見る角度を変える事で、下に続く道となっていた。そこを黒鉄さんを先頭に進んでいく。
「ああ……下水道はこの場所の事を言っていたのか。久し振りに嗅ぐと強烈な臭いだな」
【カントの秘密地下通路B2】が最初にたどり着いた場所。そこには山からの地下水が流れているわけじゃなく、かといって、汚水が流れているわけでもなかった。
「うわっ……甘ったるい臭いで、気持ち悪くなるぞ。それも七色に輝く水が原因だよな」
ルパソは強烈な臭いで鼻を摘まんだ。
「私もこの臭いは嫌いだよ」
流れているのは虹色の怪しい水……水といっていいのかも分からない。それがバニラ? チョコ? 甘い匂いを色々混ぜたような凄い臭いを発している。これも毒の一種か……と思ったけど、ポイも強烈な臭いに鼻を押さえて、嫌いだと公言してるという事は、毒ではないわけだ。
「黒鉄さんはこの場所を知ってるような口振りだけど?」
「クエストで通った事がある。【カント城】へ向かうだけで、野盗のアジトへ続く道はなかったはずだ」
クエストで通った……【カント城】と七色の水は関係してるのか? これは俺もいずれ体験するクエストの一つかもしれない。黒鉄さんも詳しい内容もでは言わないようにしてくれたみたいだけど……
「【MAP】を確認してみると……確かに【カント城】に行く方向の道しかないか。【ニバン山】に続く道は隠されてるのかも」
七色が流れてくるのが【カント城】がある方向。その道を進んでも、野盗のアジトには辿り着けない。
「隠されてるか……怪しい水の中を潜るなんて事はないよな。流石に入りたいとは思わないぞ。黒鉄なんて装備の重さで溺れてしまうぞ」
「装備は関係ないが、職業的に厳しいのは確かだ。敵がいた場合、その場から動けなくなるから」
【要塞】は戦闘中にその場から動けないから、息が続かない事があったのかもしれない。
「そもそも、水の中はおろか、この場所に魔物はいなかったはずだ」
魔物がいない? それはおかしいぞ。ウルは下水道に毒の魔物がいると教えてくれたんだから。別の場所とは考えづらいし……
「ウルはこの場所に毒持ちの魔物がいると嘘を吐くとは思えないんだけど……黒鉄さんもそれは一緒なんですよね」
「いやいや……あれは敵だろ?」
ルパソが指差す方向に何かいるのは確かなんだけど、相手の名前やLVを表示するのが見えない。
「クエストによって違ってもおかしくないが……あれは【ウルフ】か? こんな場所に【ウルフ】がいるのもそうだが、武器を咥えてるのも珍しい」
【巨大ネズミ】や【イレカエル】でもなく、【ウルフ】? 俺も姿を確認出来たけど、それでも表示はなし。それにウルフが咥えてるのは【投げナイフ】か? 俺が持っているのと同じで……ウルに返してもらったけど、数までは把握してなかった。
「あれは敵じゃないな。私が動けるのもそうだが、敵の表示が何もない」
「言われてみれば……という事は、ウルの仲間か!?」
ウルの仲間は野盗に捕らえられているはず。【投げナイフ】は俺達の匂いを判断するためか? ここにウルの仲間がいる時点で、野盗のアジトに何かがあったのは明白だ。




