周り良ければ、全て良し
「あそこだ!! 陣形を崩すな。奴等を捕まえるんだ」
陣形!! 野盗達が襲い掛かってくるのに、そんな高度なテクニックを使うのか。これを突破するのにポイだけで大丈夫なのか?
「兵士達が野盗達を捕まえようと、道を封鎖している。MAPを確認するまでもなく、特定のルートしか進めないようだ」
黒鉄さんは俺が現状を把握するために、周囲の状況を説明してくれた。陣形を張ったのは兵士達で、街に侵入した野盗達を捕まえようとしているらしい。
「余計な戦闘はなしって事か? それなら安心だな。大通りは封鎖されてるから、店と店の建物の隙間の道が正解だな」
「その中でも間違ったルートが存在してもおかしくない。その時は敵が襲い掛かってくる事がある。正解の道でも待ち構えている事もあるぞ」
「こんな場所で襲い掛かってきても前後からだろ? 黒鉄が前にいるし、後ろにはポイがいるから大丈夫だろ」
先頭に黒鉄、真ん中にルパソ、後ろにポイが並んでるみたいだけど、そこはポイを真ん中にするべきじゃないか? ポイの方が強いかもしれないけどさ。
「ヒャッハ~、死に晒せ!!」
野盗の雄叫びに、黒鉄さんの足が止まる。正面から野盗が来た? この場合、黒鉄さんは攻撃出来ないわけで……
「上からだよ!! 建物から飛び降りてくるのはなしだろ!! 立ち止まらなくていいから……へぶっ」
黒鉄さんはルパソの嫌がらせで立ち止まったのか!? 見事にルパソはダメージを受けたような声がしたんだけど!!
「踏み台にしただけだよ。蹴り飛ばしておいたから安心して」
「……安心じゃないだろ。近くに建物の壁があっただろ」
ポイの声が近くから聞こえてきた。ルパソを踏み台にして、空中で見事に迎撃したみたいだ。その勢いでルパソを飛び越えたんだろう。
「……たく、酷い目にあった。あんな場所から登場するなんて、何処で待ち伏せされてるか分かったもんじゃない。立ち止まらず、さっさと下水道がある場所まで行くぞ」
「……少し待て。面倒な事になるかもしれない」
黒鉄さんは一歩も動かない。ルパソの嫌がらせとして、立ち止まったわけじゃないみたいだ。兵士の目を掻い潜って、野盗達が捜してるのか? それだと野盗の雄叫びや、ポイが蹴り飛ばした事で、俺達の場所がバレていてもおかしくないよな?
「面倒な事? 野盗の集団がいたら、兵士達が対応してくれるだろ。他に厄介な事なんてあるわけ……あれも野盗の仲間なのか?」
ルパソが声を詰まらせてるけど、予想外の敵……もしかして、ウルの仲間だったウルフが!!
「私とヤク中が一緒に行動してるのが原因なのか、時間の経過が影響しているのか……あれはガルダインの手下の鳥達だぞ」
ガルダインの手下?? そういえば、黒鉄さんはガルダインに何度か攻撃を仕掛けられてるんだった。その時の相手に手下も含まれているのか。
「えっ!! 王にまだ手紙を渡してないのに?? 手下達が街を襲うなら、そういう事ですよね。もしかして、このクエストとも関係がある?」
野盗達が襲い掛かってくるタイミングと同時期なのはおかしくないか? 野盗のアジトがある【ニバン山】にガルダインがいるとか……ウルとは流石に関係はないか。ウルは職業【毒】のクエストに関係するんだから……
「そんなわけあるか!! 手下だしても、LV30の【ガルーダ】だぞ。推奨LV15の敵じゃない。下手したら、一撃で倒されるぞ」
LV30の【ガルーダ】!! 【ガルーダ】は俺がやってきたいくつものRPGでも登場してきたBOSSキャラだ。弱いわけがない。そんなのが何匹もいるのか?
「そんなところを通り抜けないと駄目なのかよ」
俺とルパソの実力では無理だ。本当に俺と黒鉄さん狙いなら、黒鉄さんが囮になるしか方法はない? それでも街に被害が……
「……問題なさそうだ。確かに魅力的な状況かもしれないからな」
こんな状況が魅力的って……黒鉄さんも変な事を言ってくる。高難度が面白いと思ってるタイプなのか? 黒鉄さんは移動を再開する。
「おっしゃー!! ガルーダ狩りだ」
「レア魔物大量発生おつ」
「シークレットボスの前哨戦か?」
「どれだけ倒すかで参加が決まるなら、頑張るしかないでしょ」
「突発イベ? マネーに交換可能なら」
進むたびにプレイヤー達の声が聞こえてきた。序盤の街でも【ガルダイン討伐】で色んなプレイヤー達が集まってる。これをガルダインの前哨戦と思って、プレイヤーが戦闘を始めたみたいだ。
「ガルーダはレアな魔物だからな。ある意味、プレイヤー達にはお祭り気分かもしれない」
なるほど……黒鉄さんが魅力的という意味が分かった。これは……俺やルパソのクエストと関係ないな。




