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毒・毒・毒!!  作者: マネージャー
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口臭こそが毒のようです



「ふぅ……最初の街に着いただけなのに、フルマラソンを走った事はないけど、完走した気持ちはこんなのかもと思ってしまうわ」



 街に着いた……スタート地点から【イチバン】までは十五分ぐらいの距離。中に入れたのは、あれから更に二時間が経過してた。流石に追加の称号は無かったけど、『毒の取り込みが完了しました』の表示が出てくれた。



【毒(付加)】……武器に毒を付与する。確率で付着し、連続で攻撃する事で効果上昇。効果時間 一分間 HPが十秒毎に1ずつ減っていく。付着するたびに時間延長、最大三分まで。


 これには必要な道具がないのは助かる。MPの消費も書いてないから、普通の攻撃自体が毒が付与されるんだろう。



「それにしても……【空気のような存在】は街中でも発揮されるのか」



 始まりの街の一つという事もあって、新規プレイヤー達をチラホラ見掛ける。プレイヤーとNPCとで判断出来るように、頭の上に名前が表示される。設定で消す事も可能ではあるらしい。俺の場合、それが消えてるんだろう。



 エルフや獣人、ドワーフと様々なプレイヤーがいるけど、序盤ともあって、装備は似たような感じだ。その中でガスマスクは目立つはずなのに、誰も俺を見ようとしない……避けられてるわけじゃないと思う。



「とはいえ、身なりには気をつけておくべきだな」



 いや……あれは自業自得なのか? 【毒】の事を教えるために用意されていたのかもしれないけど、あれは達が悪かった。



 敵に一度も遭遇せず、【イチバン】の街に到着した時の話。と言っても、門前の事だ。街を守るように警備の兵士がいた。この時が【求】で最初に会ったNPCだ。



【空気のような存在】があるから、気付かれないか試す機会。敵に一度も遭遇する事はなかったわけで、会ったとしても毒状態では避けていたと思うけど。


 そういう事で兵士達の前を素通り。兵士も欠伸をするぐらいだから気付いてない。もしくは、こんな姿でもプレイヤーだから怪しまれていないのか?どちらか判断がつかない。



 残念という気持ちもあって、俺は溜め息を吐いた。それだけで事態は一転。


「くっ!! 何かに異臭を嗅がされた……そこからだ!!」


 兵士はそう言って、俺へ不意討ちを仕掛けてきた。勿論、避ける事も出来ずに死亡。街が目の前だからと、薬草の回復をしなかったのが悪かった。けど、急に気付くのは反則だろ。双六のゴール直前で『振り出しに戻る』になった気持ちだった。



 あの時は『毒の取り込みが完了しました』という表示がなく、HPが減少序盤で兵士達と戦わないと駄目なのかと戦々恐々した。



 実際、さっきと同じ行動をすれば攻撃されてただろう。ただ、『異臭』という兵士の言葉に意味があると思ったわけだ。何かが違う事で臭いが発生する……その中で【毒抑えのマスク】の吸収缶を外したままなのに気付いた。薬草を食べるわけだから、そこから何かしらが吐き出されてもおかしくないと。



 それは正解だったみたいで、無事に街の中に入れたわけだ。まぁ……顔を覚えられて、追い出される可能性じゃなかったけど……



「まずはクエストを受ける場所を探すか」



 異臭が漏れてないか再度確認して、クエストを受託出来る場所を探す事にした。住人から依頼される事もあるらしいけど、街にある酒場やギルドがクエストを取り扱っている。



「他プレイヤーの後ろを付いていけば着くだろ」



【イチバン】の街並みはファンタジー世界でいう城下町というよりも、自然豊かな田舎町に近い。八百屋や魚屋みたいに商品を表に出して、店のNPCが呼び込みをかけている。



「いらっしゃい。冒険には必需品の回復アイテム等が揃ってるよ」



「魔物が襲ってきたとしても防具があれば痛くない。オシャレも楽しめる品物が置いてるよ」



「武器、武器、武器!! 武器がないと何も始まらない。攻撃しないと敵は倒せないよ!!」



 三つの店の呼び込み合戦が激しい。何か欲しい物……それを買うお金がない。お金を手に入れるためには敵を倒して素材を拾う、それともクエストのクリア報酬でGET出来る。それならクエストを引き受けながらも、敵を倒すのが効率が良い。



「売る物がないと言えば……嘘になるけど」



 見るぐらいはタダなので、道具屋を拝見。道具屋は俺を無視して、呼び込みを続けている。という事は……盗む事も可能ではと思わなくもないが、【盗賊】という職業もあるし、スキルなしだと失敗しそうだ。



「【薬草】は貼る専用もあるのか。それに……【毒消し草】がすでに売られているんだけど」



職業【毒】の天敵でもある【毒消し草】が18G(ジー)で販売されている。Gは【求】での通貨単位だ。【薬草】貼る用は10Gで、食用は8Gと食用の方が安い。食べるにしても味はきちんとあって、さっきまでは背と腹は代えられなかったからで……不味かった。



 手持ちには食用薬草が二つ残ってるけど、これを売る事も出来る。でも、回復する道具は必要だし、売ったとしても半額以下になると思うんだよな。



「おっ!? キノコも置いてるな。名前の表示がされてないけど、【夢キノコ】か?」



 夢キノコが無いと【毒(幻覚)】は使えないからな。【原初の森】にあったとしても、実物を拝見しておかないと……



「それは【マンキツコ】だね。マヒを治療するキノコだ。まぁ……ここ一帯では使用する事は滅多にないがね。それでも焼くと美味しいんだ」



 商品に触れた瞬間、道具屋の店長が声を掛けてきたんだけど!! 俺の独り言にも反応しなかったのに……盗もうとしなくて良かった。

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