尻の衝撃
「うおおおお!!」
何処からともなく叫び声が……しかも、聞いた事のある声。それも後ろからじゃなく……
「ん!? クッションのような物が……ヤク中が用意してくれたのか!!」
空……というか、上からルパソが落ちてきた。ここがウルの教えた場所の下なのか、ルパソが俺みたいに落とし穴に嵌まったかどうかは分からない。ただ……【グリーンスライム】がルパソの落下の衝撃で倒されてしまった。勿論、ポイの【グリーンスライム】に対する突撃は失敗。
「そんな唖然と顔をして、どうしたんだ? まさかの危機的状況だったか? LVも一気に2も上がってるんだが!!」
「そっちの方が唖然とするわ!! 毒を手に入れようとしたのに、お前が落ちてきた事で失敗したんだよ。それにLVが2もあがるのは何だよ」
【巨大ネズミ】と【イレカエル】のEXPが少ない分、【グリーンスライム】はEXPを多く所持しているのは、二匹の魔物に食べられやすいからで、倒すのが難しいって事か。
ポイも突然の出来事で呆然として、後から【グリーンスライム】を踏み潰したルパソの尻に噛み付こうとしたのを俺が止めた。
「いや……不幸続きだったから、こういう時に幸運が来る物さ。それで……ここは下水道か? ヤク中がいるなら、あのゴミ捨て場で正解だったな」
「多分……というか、違うだろ。階段や梯子もないし、どう戻るんだよ。俺達がいるのは【カント秘密地下通路】。【MAP】にも表示されるぞ。まぁ……下水道に繋がってる可能性は大だけど」
俺が落ちた場所と違って、近くに縄梯子もない。ルパソは何処かのゴミ捨て場から落ちてきたわけだ。というか、ゲームの神様……神野司じゃないけど、俺とルパソを一緒に行動させたいらしい。
「本当だな!! ここは一緒に行動するしかなさそうだ。安心しろ。こういった場所には宝箱がつきもの。鍵が掛かってた場合、俺が解除してやる」
ルパソがそう言ってくれるが、敵を探し回っている間に宝箱は一つも無かったぞ。
「はぁ……ここで別行動するのもおかしいし、パーティーを組むか。けど、極力【グリーンスライム】を倒すな。毒を手に入れたいから、【グリーンスライム】をどうにか生き延びさせてくれ」
縄梯子のある場所まで、ルパソを案内したところで付いてくる。なら、【巨大ネズミ】か【イレカエル】の相手をして貰おう。その間に【グリーンスライム】に攻撃する。
「【汚名返上】のクエストを攻略するためだ。協力しようじゃないか。さっき潰したのがグリーンスライムなら、EXPも多く貰えるからな。素材は……緑色のスライムゼリー……やろうか?」
そこはルパソも抜け目ない。毒の取り込みが出来たら、グリーンスライムを倒す気満々だ。EXPの大量GETと、【スライムゼリー(緑)】が手に入る。それをルパソは俺に譲ってくれるみたいだけど……
「ポイが何も反応しないって事は、毒の素材じゃないよな。何度も倒せば、手に入るだろうから大丈夫だ」
【スライムゼリー(緑)】に毒があるなら貰ったけど、そうでなければ、ルパソに借りを作りたくない。
「そうだな。素材が大量に入る程、敵を倒すか。そのためにも上へ行く階段も探し出さなければ」
【グリーンスライム】を狙っていた【イレカエル】は逃亡……というよりも、【グリーンスライム】が消えた事で、興味を無くしたのかもしれない。そんの状態を狙えば良かった……
「地上に出れる縄梯子の場所は分かってるから。すぐに脱出出来ない分、下手に上へ行った方が危ないぞ」
「最短ルートがある分、そこまでの間に良い物が用意されてるものだ。LV以外にGも必要なんだろ? もしかしたら、装備アイテムが置いてあるかもしれない。毒の素材が宝箱に隠させている事も……なら、行くしかない」
宝箱に毒の素材がある可能性は……0じゃない。良い素材、装備がないとも言い切れない。けど、持ち帰る途中で死んだ時は全ロスなのは分かってるんだろうか。




