カントへGO!!
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「はぁ……寝てる間にこんな事になってるとは……弱い状態のままでガルダイン討伐のクエストを受けないと駄目かも」
昨日……じゃなく、今日の朝近くまで【求】をしてたせいで、目が覚めたのは昼をとうに過ぎている時間。目覚ましをかけてまで起きるつもりはなかったから、別に構わないんだけど……
ある意味、日課になっている【求】の掲示板を読み漁る中で、【カント】に巨大鳥の噂がNPCで流れていて、プレイヤー達はそれをシークレットボスと思ってるみたいだ。まぁ……多分そうなんだろうけど、そこに名無しの調合師という人のコメント……あれはアカツキさんだろ。話し方もそうだし、遠回しに俺や黒鉄さんの事を言ってたぞ。
「プレイヤーに見つからないとは思うけど、俺がプレイヤー達を選ぶのは無理だって。黒鉄さんがそれまでにガルダインを撃破する……アカツキさんからしたら今は無理っぽいし」
取り敢えず、【カント】の街……じゃなくて、王様に手紙を渡してからだな。掲示板に書かれていたのは予想であって、実際はどうなるか分からない。俺とは無関係で、プレイヤー全体にクエストが発令される事もあるかもしれない。
というわけで、今日も外には出ないで、【求】の中へログイン。
「やっと戻ってきたね。今日は何処に行くの?」
今回の開始場所は【イチバン】の入口前。ポイが出迎えてくれたけど……カタコトに慣れてから、少し違和感があるけど、それ以外は同じ。俺がいない間に別の衣装に変わってる事に少し安心もする。
「今日は【ガナナーガ】が守っていた橋を越えて、【カント】の街に行こう。多分、大きな街だから色んな素材が売ってるかもしれないぞ」
「新しい毒もあるかな?」
やっぱり、ポイが気になるのは毒なんだな。薬師や調合師、職人系の材料が売ってるなら、毒の素材が売っていてもおかしくないと思う。俺も気になるところだけど……ポイは職人【毒】の俺以上に興味がないか?
「かもしれないな。それか毒の分布図が売ってたら良いんだけど……」
【イチバン】付近では毒は三つ。毒がどれだけの種類があるか……地域別にあれば御の字。【イチバン】に固まってたから、【カント】付近はなし……というのは止めて欲しい。
酒場や武器屋等の店には寄らず、【カント】に向おう。入口前でもプレイヤー達が歩いてるのが分かるし、アカツキさんみたいに俺と【ガナナーガ】の戦闘を見た奴がいるかもしれない。流石に戦闘中、プレイヤー達も俺の姿がずっと見えないわけじゃないだろ。
「そうだ!! アカツキさんに一言文句を言わないと」
掲示板で書き込まれたコメント。俺の協力者を増やそうとしてくれたかもしれないけど、弱い状態で悪目立ちしたくない。俺を見つけるのが難しいというのも、【空気のような存在】がバレた時にどうなるか……
【メニュー】欄に【フレンド】という項目が追加され、そこを押すとアカツキの顔写真とLV、職業が表示された。俺の職業が【毒】だという事はバレバレだって事だ。
「アカツキさんのLV70は……高いんだよな?」
【求】の最大LVがいくつまでかは知らないな。99までなら凄いし、100を越えてたらどうなんだろう? 俺との差は歴然だけどね。そこは分かったからいいけど、アカツキさんはログアウト状態。フレンドになれば、インしてるのかも分かるみたいだ。
「少しはやってる感じはしたけど、今は仕事をしてるんだろうか?」
アカツキさんは声や話し方からして、学生じゃないだろうな……とは思ってた。学生だった場合は……ごめんなさい。黒鉄さんに関してはフレンドになってないからな。あの二人はリア友なのか……そこは謎だ。
【イチバン】に向かうプレイヤー達をよそに、俺とポイは【カント】へ向かう。ポイは元気に走っていく。今回、ポイはプレイヤー達に声を掛けられる事ない。走ってる分、捕まりづらいのもあるかも。そこに注目が集まる分、【空気のような存在】が効果を増し、俺は気ままに歩いていく。
「ポイ、【カント】に着くまでは敵に攻撃するなよ。毒があると分かってもだぞ」
【ガナナーガ】がいた橋を通り抜けると、【MAP】も【カント】付近に切り替わった。という事は、敵も違ってくる可能性が高い。下手に戦闘して死んだ場合、【イチバン】に戻るのもGが半分になるのは構わないけど、王様に渡す手紙や【形見の槍】が無くなるのはヤバい。インベントリの中に入ってる状態で、貴重品として絶対落とす事はないとは書かれてないから。
【イチバン】に預かってくれそうな店は無かった。宿屋は行ってないから……そこの可能性はあったけど、城もある【カント】なら間違いなくあるはずだ。
「形見の槍は装備出来ないし、カントなら引き取り手も……流石に駄目か」
【形見の槍】が店で売る事は可能なのか? そのGで毒の素材を……そういうのは別のゲームだと非売品になるんだけど、職業【商人】のプレイヤーもいるわけだし、【ガルダイン特効】がついてるのも大きい。ある意味、売り時の品……なんだけど、ゲームの中でも人としてどうなんだ? とも悩んでしまうところだ。




