詫びる少女
翌日、ミーナの様子を見に客室へ行くと、ベッドの上から声がした。
「あ…おはようございます」
「いや、横になったままでいいぞ」
あわてて起き上がろうとするミーナを止める。額に手を当ててみるとまだ熱があるようだ。
「具合はどうだ?」
「えっと、なんだか身体のあちこちが痛いです。あと頭も重たい感じがします」
受け答えはしっかりしているようだ。
「あの…本当に申し訳ありませんでした」
ミーナがすまなそうな表情になる。
「どうした?」
「王宮で急に倒れちゃったし、あんまりよく覚えてないけど泣き叫んだりして、皆さんにたくさん迷惑をかけてしまいました…」
ミーナの頭をなでる。
「気にするな。ミーナが悪いわけじゃない。きっかけを作ったあの馬鹿にはちゃんと責任を取らせる」
とまどう表情のミーナ。
「馬鹿って…あの方はお友達なんでしょう?」
「こちらとしては不本意だがな」
あの馬鹿を思い出すだけでも腹が立つ。これまでにも散々な目にあわされてはきたが、今回ばかりはそう簡単に許せそうにない。
そんな会話をしていると、ノックの音がして入ってきたのは勇者と聖女。
「あ、目が覚めてるじゃねぇか。大丈夫なのか?」
「熱は下がったの?」
やはり起き上がろうとするミーナを止める。
「あの…皆さん、ご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ありませんでした」
目に涙を浮かべているミーナ。
「気にするなよ。俺達なら全然平気だ」
「そうそう。貴女が元気になるのが一番大事よ。あ、王都で流行ってる氷菓を買ってきたんだけど、食べられるかしら?」
勇者がミーナの背中を支えながらゆっくりを起き上がらせる。
「はい、あーんして」
聖女はスプーンで氷菓をすくってミーナに食べさせた。
「これ、冷たいです!それにとってもおいしい!」
驚きで目が丸くなるミーナ。
「お店だともっといろんな種類があるのよ。元気になったら一緒に食べに行きましょうね」
「俺は果物を持ってきた。この家のメイドに渡しておいたから、あとで食べるといい」
「ありがとうございます」
礼を言うミーナに勇者の手が額に触れる。
「まだ熱があるみたいだな。その氷菓を食べたらきちんと寝るんだぞ」
ミーナの頭をぐりぐりとなでまわす勇者。
「はい」
ミーナも笑顔で答えた。
氷菓を食べ終えたミーナを寝かしつけ、後をメイドに任せて応接室に移動する。
「王宮からの伝言を預かってきた」
勇者が話を切り出す。
「ミーナが回復次第、謝罪したいそうだ。病み上がりに無理はさせたくないから、この家を訪問したいと言ってるんだが」
「正直なところ、あちらへ行きたくもないし、こちらへ来てほしくもないが、しかたあるまい」
思わずため息が出る。あの馬鹿に関わると本当に面倒なことばかりだ。
「私は大神殿からの情報を持ってきたの。魔王の所在は絞り込めてきたそうよ。そろそろ次の遠征の準備に取り掛かった方がいいかもしれないわね」
「そうか」
次の遠征は思っていたより早く始めることになりそうだ。




