写真について
写真は嫌いだ。ここで言う写真とは集合写真である。特に主だったエピソードはないがとにかくあまり好きではない。魂を抜かれるとかそういう思想を持っているわけでもない。
写真に意味はあるのだろうかと考えたとき私は意味は無いと思う。大抵の人間が写真を撮る理由は忘れたくない瞬間だとか残しておきたいことを忘れないためであろう。しかし仮に写真を撮っていなかったとしてそれを忘れることがあるのだろうか。いつかは忘れると思うがそれは所詮その程度の記憶だったのだ。忘れたくない記憶、忘れてはいけない記憶は残り続ける。それは写真ではなく文字としてかもしれないし口伝としてかもしれないが確実に残るのだ。
逆に写真を撮ることで安心しきってしまい忘れてはいけないことを忘れるかもしれない。やっぱり私は写真を撮りたくない。写真に撮れないことも覚えていたいし覚えていなければならない。そして忘れない。
写真に写せるものと写せないものでは写せないものを選びたい。昔本で読んだことがある。内容は上手く言い表せないが確かに私の考え方を変えた文章だった。とりあえず写真は撮らないことにした。
写真が嫌いな理由はもう一つある。写りがあまり良くないのだ。それについては元が悪いだけだが、ポーズを取るのも苦手だったりする。なぜ写真を撮るだけにいちいちポーズを取らなければならないのか。あれはとても面倒だし恥ずかしい。なるべくなら避けたい。たぶん撮る側には滑稽に映っているだろう。と言うわけで写真の中の私はポーズを撮っていなかったりする。それが私の最良なのだ。