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 舞台から降りたエルゼに、待っていたラコンテが「お疲れ」と言った。


「ヤバいな、これ」

「まあね」


 遠い目をしながらゾロゾロと帰って行くピクシの民を見ながら話す。リラはすでに手当のため、この場にはいない。

 そんな時「……あの」という声が聞こえてきた。エルゼが振り向くと痩せた中年の女性が立っていた。顔立ちからして、ピクシの民だろう。


「リラの母親でございます。リラを助けていただき、ありがとうございます」

「いえ。と言うか、この裁判がおかしいんですよ」


 エルゼがそう言うとリラの母親は幽かに笑って「本当にありがとうございます」と言った。ラコンテが「え? その跡、どうしたんですか?」と指さした。リラの母親の両手足には縛られていた痕があった。


「牧師様の仲間に捕まって、縛られていた痕ですね」

「早く手当しないと!」


 ラコンテが慌てていると「リラのお母さん!」と声が聞こえて、見ると中年の女性達が走ってきた。


「大丈夫? 早くリラちゃんの元へ」

「リラは大丈夫なの?」

「今、お医者様に見せてもらっているわ。さあ、リラのお母さんも」


 そう言って、中年の女性達はリラの母親を促す。去って行く際にリラの母親はエルゼたちに会釈して、リラがいる医者の元へと向かった。

 そして一人の小太りの中年の女性が残って、エルゼに「ありがとうね」とお礼を言う。


「私ら、神判とか裁判とか理解できなくて……。あんたが来なかったら、あのボケ牧師とその仲間たちの思い通りなっていたよ」

「当然のことをしたまでです。だけど、どうしてあんな事になってしまったんですか?」

「今日のお昼頃にリラ達を『領主に呼ばれている』と言って、バスロ牧師は連れて行ったんだ。で、うちらも怪しいと思って後を付いて行ったの。そしたら、あの舞台が作られていてリラと母親を神判にかけるって……。私らも辞めろって訴えたけど、領主が認めているって言われたら、どうしようも出来ないし、無理やりでも辞めさせようとしたらリラを盾も使って脅すし……」

「と言うか、領主はどこ行ったんだよ。ああ、さっきの公爵じゃなくて、今までやっていたグラファ子爵だっけ?」

「私らも分からないの。子爵様に事情を聞こうと思って、屋敷にも行ったんだけど留守だって使用人が言っていて……」


 こういった一大イベントのような事を行う時、必ず領主もいるはずと思っていたのだが不在だったのか。もしかしたら居留守を使っていたのかもしれないが……。

 そんな時、公爵が「決闘令嬢」と話しかけてきた。中年の女性とラコンテが慌てて頭を下げ、エルゼはカーテンシーをする。


「君からも事情を聴きたい。先に使いの者と一緒に屋敷に行ってくれないか」

「分かりました」





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