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使いの者と一緒に公爵の甥であるグラファ子爵の館へとエルゼとラコンテは向かった。
グラファ子爵の屋敷の庭は割と整備された。寒さに強いと言われるパンジーが綺麗に咲き誇って、木々も整えていた。
「……庭が綺麗ですね」
「ああ。不毛と言われる土地だから、公爵家から勤めていた腕のいい庭師が連れてきたので」
ラコンテは「へえ、綺麗だな」と呟き、エルゼは首を傾げていた。
屋敷の中に入ると高価な物は見えないが掃除が行き届いてる玄関だった。使いの者はメイドたちに事情を離して、応接間に案内してもらった。
清潔な屋敷の廊下を歩いていると、チラッと二十代後半の男性が部屋のドアから様子を窺っていた。エルゼが目を合わせると挨拶する前にバタンと閉まった。
扉が閉まる音がして、ラコンテは「誰かいるのか?」と呟く。するとメイドは「グラファ様です」と言った。
「今はハーバードクラー様に部屋から出るなと言われていますので」
なるほど。魔女狩りのような裁判を執行されてしまったから、公爵に謹慎を言い渡されたのか。それにしても彼はどうしてバスロ牧師に、神判を執行してもいいという契約にサインをしたのだろうか? ……もしかして信者か?
応接間に着いたが、趣味のいい調度品が並んで、豪華と言うわけではないけれど上品な感じだ。
港の絵画を見ながらラコンテは「割と綺麗だな」と言った。
「リラの恩恵を受けているのに、魔女狩りを許可なんかして」
「ううん。多分、リラが来る前からの物だと思う」
エルゼの言葉にラコンテは首を傾げて「でもここって不毛の地って言われていたんだよな」と言った。
「作物が取れないと税金も少なくなって、領主も貧しくなるだろ? それなのに、絵画とかいい調度品があるんだ? もしかして無理な税金を課していたとか?」
「そうかしらね……」
不思議そうな顔でエルゼは言っていると、メイドが紅茶を用意してくれた。紅茶のカップも欠けていたりバラバラではなく、とても丁寧に使っている物だった。
***
しばらくすると馬車が走る音が聞こえて、近くにとまった。どうやら公爵が帰って来たようだ。エルゼ達がいる応接間から公爵とメイドとの会話が聞こえてきて、更に知らない男性の声も聞こえてきた。
それから少し待って、ようやくハーバードクラー公爵とグラファ子爵が入って来た。
「お待たせしました。決闘令嬢」
エルゼがハーバードクラー公爵と男性にカーテンシーをして、ラコンテもお辞儀をする。その姿にグラファ子爵は嫌そうな顔をする。
「さてバスロ牧師は大体の事情を聴いたんだが、君からも聞かせてほしい」
「分かりました。その代わりと言っては何ですが、私からもいくつか質問をしてもよろしいでしょうか」
「構わない。やりたくはないが決闘裁判になりそうだから、君に頼む可能性がある」
やはり決闘裁判になるのか……と私は思っていると、ハーバードクラー公爵は「おっと、忘れていた」と言って知らない男性の方に目を向けた。
「彼はゾーフト・グラファ子爵。私の息子で、叔父が国から譲り受けたここの領地を任せていたんだが……」
公爵が紹介をするもグラファ子爵はそっぽを向いてしまった。へそを曲げた子供のようだ。この態度に公爵はため息をついた。
彼の態度は置いておいて、エルゼは事情を話し始めた。




