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 村についた途端、衝撃な知らせを受けた。


「リラが裁判にかけられるって!」

「何じゃと!」

「え!」

「嘘だろ!」


 エルゼとラコンテ、二人を連れてきた老人は知らせてくれた青年の言葉に驚く。一方、青年は荷馬車にいるエルゼとラコンテに気づき、「どちら様?」と聞いてきた。


「あ、申し遅れました。エルゼと申します。リラとは親戚です。裁判にかけられるって話しを聞いて、居ても立っても居られず来ました。一応、仕事上の関係で裁判について少し詳しいから、力になれると思って……」

「裁判に詳しいのか! じゃあ、早く行ってあげないと!」

「いや、待て! なんで突然、裁判になったんだ?」


 老人が憤って聞くが、青年は不甲斐ないという顔をして「それが俺達でも分からないんだ」と言った。


「あの意味不明な牧師がよく分からない事を言い放って、理解できなかったんだ。えーっと、【ピクシの民や村人が言う通り聖女であるか判断するため、裁判と言う名の神判を行う】って」


 エルゼの顔が青くなり、「え? 神判って言っていたんですか?」と聞いた。


「ああ。そう言っていた。神判ってヤバいのか」

「大昔に行われたものです。合理的証明が出来ないため、全知全能の神に訴える方法です。と言っても魔女裁判のような事をします。例えば沸騰させた油の中にあるコインを取れたら、聖女だって感じの行為をします」


 そう言った瞬間、青年も老人もラコンテも真っ青になった。こんな人間離れした行為を女の子が出来るわけが無い。

 ラコンテは「ヤバいぞ」と言って、青年に聞く。


「ここからピクシの民がやっている農園はどのくらいかかる?」

「……馬で数時間くらいだ。港の街から馬車を借りるか?」

「お前が飼っている村一番の早い馬で行った方が良い」

「じいさん! あいつは気難しくて乗せられないんだ!」


 老人と青年が喧嘩しそうになりそうなところで、ラコンテは「とりあえず、その馬を見せてください」と言った。

 心配そうだが了承してくれた青年の案内で、エルゼたちは馬小屋へと向かう。

 村一番速い馬は真っ黒な体で目が鋭く、意味なく足踏みをして、鼻息も荒い。一目で気難しいと分かる。

 ラコンテは気難しい馬にゆっくり近づく。


「大丈夫か? 知らない奴が来ると蹴ろうとしたり、噛みついたりするんだ」


 青年の心配をよそにラコンテは馬の顔を触って、「乗せてくれるか?」と優しく聞いた。すると大人しく顔を下げて大人しくなった。


「すごいな。相当な暴れ馬なのに」

「ピクシの民は動物に好かれますし、ラコンテはサーカスで動物と一緒に芸を披露しているから……」


 青年とエルゼが感心していると、ラコンテは「いや」と言って話し出した。


「こいつも一大事だって分かっているみたいだ」


 ラコンテはそう言うと「とにかく、こいつと向かうよ!」と言った。




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