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エピローグ 2


「決闘裁判について、どう考えている?」


 日は沈み辺りは暗くなってきた。月が輝く夜空の下でオルトは質問し、エルゼは微笑んで口を開いた。


「非常に分かりやすい真実の決め方」

「つまり力が強いものこそ正義って事だな」

「そうです。元々、決闘裁判は人間たちが行ってきた権利を求める戦争から始まっています。そしてこの戦争は平民である個人でも行える方法です。この決闘裁判が無ければ、白い結婚ではないと突き付けられたクレアさんはガスラにまた連れ戻されるでしょう。それに待っていても素敵な王子様は来てくれませんからね。戦わなければ、何も解決しない」


 エルゼの言葉にボソッとオルトは「それは運のいい者だけだ」と呟く。

 不思議そうに見るエルゼは「オルトさんは決闘裁判をどう思いますか?」と聞いた。するとオルトは短く「野蛮」と呟いた。


「私は決闘裁判の審判をやることがある。例え正しい事を言ったとしても、力が無ければ間違いだと言われる。私はそんな裁判を見てきた。そう思うたびに、権威のある者が判決を下す方法は無いのかと思う事がある」

「一方的な権力は毒ですよ。クレアさんの裁判を行った審判はガスラに有利な判断を下していました。公明正大な人はいるんでしょうけど、そんな人は少ないでしょうね」


 そしてエルゼは軽く笑って「それに」と続く。


「決闘裁判は我々人間たちが生み出した傲慢で野蛮な解決方法ですよ。深き森を使う事、木を切って村を作る事、この森は人間たちが使う権利があると傲慢に言い、巨人を殺してエルフをだましてこの地は生まれました。そして深き森は消え去って、権利と名誉のために傲慢に野蛮に戦う決闘裁判だけが残っただけ」


 オルトは眉をひそめて「……耳が痛い話だ」と言い、エルゼは「すいません」と申し訳なさそうに笑う。

 だがオルトは「それでも決闘裁判は野蛮だ」と言った。


「もっといい解決方法があるはずだ。それを模索していく」

「そうですか。あなたにいい案が生まれますように」

「ああ。あなたも健闘を祈る。エルゼ」


 そう言ってオルトは「それでは、また」と言って手を挙げて去って行く。エルゼは一礼してオルトの背中を見る。


「『それでは、また』、か。また会いそう」


 エルゼはそう言い、私もそう思った。



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