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ダグラスが「もうこんな自分を辱める事をするな」と言った瞬間、シルビアは目を見開き、泣きそうな顔で俯いた。その姿を見てダグラスは心配そうに言う。
「君は気弱で争い事を好まない花が好きな人間だ。そこにいる決闘令嬢にそそのかされて、この場に立っているって事は分かっているんだ」
ダグラスが決闘令嬢の名を言うとエルゼはニコッと笑った。それをダグラスは忌々しそうに見る。
「だからもう決闘なんて……」
「ふざけないで!」
ダグラスの言葉を被せるようにシルビアは天にまで響くように叫んだ。
「私はここに立つ前から辱められているんです! あなたがアリサ様と同行してデートをさせて、公然の前で彼女と比べたて貶めたりしていた時から! その時、私が何も言わなかったのはあなたが哀れって思ったから! 男の子が生まれずディルア家の次期当主が私になって、剣の才能があるのに、騎士になれないあなたが可哀そうだったから、何も言わなかった! 哀れな運命のあなたを同情し、辛い事を言われても黙っていた!」
「……」
「だけど今回は違います! 私はやってもいない罪を擦り付けて、婚約破棄して、しかも新聞で王都中に広めて、私の名誉をこれでもかってくらい貶めました! もう対処しようのないくらいの伝染病のように、私の悪評が広がって、私は一歩の外に出られない! 私が声を大にしたってみんなに伝わらない!」
怒鳴るシルビアにダグラスは面白いくらい驚いている。アリサも目を見張って彼女を見ている。
「だから私は決闘裁判を起こして、民衆のみんなの前で私が何もしていない無実だって事を明らかにします! 私は逃げない! 今、ここで笑い者にされていようが、私の名誉は地に落ちて、悲しくも辛くもない! ここで逃げること自体が私の気持ちを裏切ることになるから!」
傍聴席は水を打ったように静かだった。
目の前にいるダグラスは、まさかシルビアが怒鳴ると思わなかったのか驚いて黙っている。一方、アリサは「大嘘つき!」と怒鳴った。
「私は見ました。突き落としたのがあなただったって事! 他の人も見ていますのよ! 言い逃れは……」
「その件につきまして……」
今度はエルゼが手を挙げて話し出した。
「私たちが調べた事をお話ししたいと思います。私たちも和解の話し合いと証人を召喚してもよろしいでしょうか?」
「よろしい」
審判に許可をもらって、エルゼはダグラス、いやここにいる傍聴人たちに向かって話し出す。
「それではお話ししましょう、この騒動の真相を!」




