020 天乃さんと調べ学習
「ほら、今使われているのは戦争で作りすぎた飛行機でしょう? 私たちにとってはただの移動手段という感覚だけれど、もともとどういう風に使われていたのかって調べるのも面白そうじゃないかしら」
「おお、それなら今の生活とも繋がるしいいんじゃないか? なあ、四重?」
「ええ、さすがセキレイ。いいと思いますよ」
「本当? よかったわ――――どうかしら、下地くん」
「えっ……ああ、僕もいいと思うよ」
慌てて答えるイスカに、セキレイはよし、と頷いた。
「――決まりね。それじゃ、細かい内容を決めましょう」
「ちょうどまとめました、大雑把ですけど……こんな感じで」
カラがノートを逆さにして、くっつけた机の真ん中に置く。はらいが目立つ綺麗な文字で、四つの項目が並んでいる。
一つ、現在使われている機種の使用率内訳。
二つ、人気の機体名。
三つ、二で挙げた機体の戦時中の使用について。
四つ、上記についての考察。
「全然大雑把じゃないわね……ありがとうカラ、仕事が早いわ」
「……もうこれでよさそうだね」
「だな。流石は委員長キャラなだけあるな!」
「……なんですかそれは」
じとっとしたカラの視線を、ティトはかははと笑い飛ばした。
後ろ手を組みながら周ってきた教師も太鼓判を押し、四人は教室を出て図書室へ向かう。
「――よかったなイスカ。話しかけられて」
女子二人から少し遅れて歩きつつ、囁くティト。
「だから――はぁ……」
「上手くやれば友達くらいにはなれるかもしれないな!」
――もう友達なんだけど、とはもちろん言えない。
「……そういうティトはどうなの。そういう話をする割に、恋人作ろうとしてないみたいだけど」
「俺はパッションで動く人間だからな。あいにく今はその気がないし、なんなら他人の恋路のほうが興味がある」
だから今のお前を見てるのが最高に楽しいんだ、と背中を叩かれた。
余計なお世話だ、と言い返していると――。
「――二人とも、廊下ですし授業中ですよ」
「……おっと、すまんすまん」
カラにまとめて注意される二人。
ふん、と鼻を鳴らしたその横で、セキレイがくすり、と小さく笑った。
図書室備え付けの情報端末は入れ替え工事が済んだばかりで、以前よりずいぶん厚みが減ったモニタがつるつると輝いていた。
ころんとした筐体のボタンを押し、立ち上がるのを待つ。
「――まずはよく乗られている機種よね。交通省の資料、公開されていればいいんだけど」
「もし無かったら、少し情報は古くなりますけど、ここの蔵書を参考にするしかないですね……。一昨年までの資料は多分あるでしょう」
「一応探しとくか、参考になるかもしれないしな。イスカ、天乃とそっちを頼むわ。俺は四重と資料探してくる」
さらっと二人きりにするつもりだ、と頭を抱えるイスカ。驚くほど自然で、強引な手口だった。
ちょっと、とカラが文句を言いかけたが、途中で諦めたらしい。小さく首を振った。
「……いいでしょう。その方が効率的ですし」
本棚の間を歩いていく二人を見て、セキレイがこそっと耳打ちする。
「――ねぇ、もしかして有馬くんって、カラのこと気になっているのかしら?」
どうやら真逆の勘違いをしている様子だった。
ほっとしつつ、イスカはちょっとした仕返しをする。
「あー……そうかも知れない」
「やっぱり。けっこうお似合いだわ」
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