12,誓い
短めです
「面白かった、やはり、一国の頂点にいずれ立つ方は剣に優れている。手応えがあって良かった」
はあ、はあ、と肩で息をつく三人に飲み物を渡すフローラ。前世の高校で見た、サッカー部のマネージャーを思い出した。
「前言撤回しよう。シェーナの誇る、ニューウェーストの血は素晴らしい。何人が束になろうと、力に差がありすぎて話にならないようだ」
レイナハルン皇国では指折りの剣士に数えられる、実力のあるザークはなかなか良い線まで行っていたと感じる。
「よかったら、そこにいる騎士とも手合わせをしてみて頂きたいのですが」
剣を杖代わりにして立ち上がったグルーネイが私を見て言う。
「実力は俺よりも上です」
被害の出ないような場所でオルナーと見ていた私は自分に注目が集まって驚いた。
「一人でですか?」
馬鹿力の兄と一人で戦うのは辛い。
「へえ。良いね。じゃあ、一対一でやろうか」
確かに手合わせをしたいとは言った。だが、絶対に勝てない相手と戦いたいとは思わない。
「名前は?」
しかし、兄は楽しそうに、嬉しそうに聞いてきた。
「ラレンスです」
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僕は敗因をずっと考えていた。
今は友好的な関係だが、敵味方なんていつ変わるかなんて分からない。もしかしたら、十年後、二十年後シェーナと敵対関係になるかもしれない。
シェーナに伝わる建国の物語。最初読んだ時には「馬鹿馬鹿しい」という感想のみだった。留学し、フェルリーナの血を引くニューウェースト家嫡男リュートの怪物じみた戦力を目の当たりにするまで子供騙しの寓話だと思っていたのだが。
涼しい顔をして三方向からの攻撃を躱すリュートは、化け物だった。
その化け物を一人で相手にするラレンスは気の毒だ。一瞬で沈められるであろう。
そう思っていたのが間違いだと気付くまで、そう時間はかからなかった。
「ふっ」
口を小さく開けて剣を的確に突く。ギリギリでリュートは避け、笑う。僕たちを相手にしていたときの様に無駄口は叩かなかった。舞う様な動き。洗練され、無駄のない動き。少しずつリュートの体力を削いでいく戦法か。
時折流れる汗が、キラキラと輝いていて、美しかった。綺麗だ。
ーー綺麗?
何を言っているんだ。あれは男だぞ。
はは、と心の中で笑い、拮抗する手合わせを眺めていた。
ーー手合わせ、したくないな。無残に負けそうだ。
強くなって、挑もう。
そう、心に誓い、動きを研究するのだった。
誤字脱字の報告をしてくださった方、有難う御座います。
修正致しました。便利な機能ですね。気付いた点が有りましたらバンバン報告して頂けますと嬉しいです。




