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世界の終わりに告白を  作者: 渡里あずま


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甘くないなら、ビタートラップ?

 ハニートラップという言葉は、中学生でも知っている。

 とは言え、味も素っ気も無いショートカットな上、胸もお尻も無い彼女ではマニアックな男性しか釣れないだろう。少なくとも、同級生に対しての色仕掛けは無理だ。

 ……けれど、今までのように黙っていては何も出来ずに終わってしまう。

 だから、光は精一杯考えた。そして甘くはないがささやかな、けれどれっきとした罠を仕掛けることにしたのだ。


「光! 何で黙ってたんだよ!?」

「良多」


『友達』だから、光達はお互いに相手を下の名前で呼んでいる。

 柔らかそうな薄茶の髪と、同じ色の大きな瞳。小柄で声も高いので、学生服を着ていても女の子が男装しているように見えるくらいだ。

 そんな彼――良多は終業式の日の放課後、他の同級生と挨拶を済ませた光の腕を掴んだ。そして名前を呼んだ光には答えず、彼女を教室の外へと引っ張っていった。


(こっちの方向だと……体育館に行く、渡り廊下かな)


 廊下を歩き、階段を降りていくのに黙って良多について行きながら光は思う。

 今日は、三学期の終業式だ。部活もないので人気ひとけは無く、話をするのには確かにちょうど良い。


(計画通り)


 漫画で読んだことのある台詞を、光は声に出さずに呟いてみる。まあ、流石に凶悪な笑みを浮かべたりはしないけれど。

 告白すると決意した光だったが、そこで引っかかったのは『いつ、どこで』ということだ。

 良多は毎日、出来たての彼女と仲良く登下校をしている。彼女は、年下の一年生。一方、光は良多と同じクラスなので、教室や昼休みがチャンスと言えばチャンスだが、流石に他の同級生達がいる中で告白は出来ない。


(だからこれは、最後のチャンス)


 それ故、転校することはあえて今日の終業式まで隠していた。

 ズルいと言えばズルいけれど、もし光と『友達』だと言うのなら良多が必ず動くと思ったからだ。

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