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プロローグ
「手を伸ばしても、空を掴むだけだった」
親と一緒に、学校から帰ってきて。光は部屋で一人、セーラー服のままベッドに寝転がってぽつりと呟いた。
SNSで見かけた言葉。目にした瞬間は、何て自分にピッタリなのかと思ったが。
「……どうしよう、イタい」
口にして、耳にしてみて痛感した。
伸ばしたと言っても、それはあくまでも比喩である。
心の中だけで思っていて、だが光は嫌われたくなくて『友達』のフリをして、良多の傍にいた。
「だから、あいつが彼女を作っても怒れない」
そう自分に、言い聞かせようとしたが――どうしよう、怒りがまるで収まらない。
「あいつだって、女嫌いとか言ってたのに」
あれは、今思えばズルいと思う。言わなかった光も悪いが、言わせなかった良多も悪い。
「言ってやる。どうせもう、会わないんだから」
元々、別居状態だったが――親が正式に離婚することになったので、光は母方の祖父母の家に引っ越す。
だからあと一年あるが、学校も変わる。大げさかもしれないが、中学生の光にとっては十分、世界の終わりだ。
だから、光は天井へと右手を伸ばし――決意を固めるように、グッと握って口を開いた。
「あいつに告白して、全部終わらせてやる」




