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不可解事件集より抜粋「アマネオの怪」(2030年)

⚫︎アマネオ、あまねお

⚫︎雨多ノ島

 レミングの集団自殺の話をご存知だろうか。レミングというネズミは数年に一度爆発的に個体数が増加することがあるのだが、その際に彼らは種の存続を考え海に集団で身投げをするというものである。

 現在でも老人たちの間ではまことしやかに語られているものの、これは全くのデマである。集団移動するのは事実であるが、その際に海に落ちているだけの単なる事故がそう見えているのである。


 ところが2019年、ある海沿いの町(訳あって名前はここに書けない)でこのレミングのように町中の人間が海に身投げした事件が起きた。

 当時のニュース番組でも第一報だけは流れたのだが、その後は各テレビ局やニュースサイトでも米軍に伴っての宣戦布告と都庁テロ絡みのニュースばかりが報道されたため、以降は報道されず注目もされなかった。一説によると政府による報道規制が敷かれたためとも言われている。

 結果、現在でもこの事件を知る者は僅かであるし、アルミホイル帽をかぶったような連中だけが信じるオカルトの類とされてしまった。

 そこは町とはいえ数万人が暮らしており、住人の半数以上が亡くなったらしい。ただし細かな人数はいまだにはっきりしない。町中がパニック状態だったようだ。

 この町で起きたことは検索エンジンには引っかからないようにされている。奇跡的に見つけても何故かすぐに消去されてしまうという。ではこれ自体がかつての「鮫島事件」のような「実は何もない」というものなのか。

 しかし先程の第一報ニュース報道の動画。もはやこれ自体の存在が怪しまれているが、確かに存在している。

 政府が現在どんな技術でどの程度検閲をしているか現状では知る術がないため、念には念を入れわざわざスタンドアローンのPCでDVD(懐かしい……おっと筆者の年齢がバレるか)に保存された動画を入手できた。


 インターネット上や電子書籍では、この事件どころかこの町の名前が載った地図やマップさえ処理されており、現在では閲覧不可もしくは書き換えられている。

 どうも「特定秘密」扱いとなっているらしく、あまり詳しく調べたり書き込んだりすると処罰されてしまう。国家機密に関わる何かが起きたらしいというのが、オカルトや陰謀論が大好きな我々の見方である。

 もちろん人の口に戸は立てられぬという昔ながらの言葉はまだ残っている。

 その町で生存した者はいるし、その人達に聞けば全てわかるのだろう。ただしここまで政府が徹底的にやっているからには、彼らには秘密裏に監視がついていると思った方が良さそうだ。知らない方が良いこともあるということである。


 まあ現在を生きる我々にとっては、次にどこでテロが起きるのか、派遣社員として民間企業で戦場に行った者たちの被曝問題などの方がよほど重要ではある。

 しかし今の状況に繋がる何かが、この事件にあるのではないだろうか。


 我々は海外のサーバーから英語や中国語、韓国語の記事を見て、その情報が共通している部分を見ることでようやくおぼろげにだが何が起きたのかわかってくる。

 ただしその情報でさえ偏見に満ちている上に錯綜しており噂に過ぎず、中には妖怪じみた話まで含まれているので正しいのかは保証できないのであしからず。

 噂は以下である。


⚫︎当時、町の島部分には工場があり、ここは住民運動により閉鎖されたらしい。

⚫︎工場では軍事関係の新技術の研究を行っていたらしい。アメリカの軍事産業と日本政府の両方から資金提供を受けていたらしい。その技術が現在、戦線に投入されている生体服であるらしい。

⚫︎町で暴動が起きたらしい。

⚫︎人魚が津波を呼んだらしい。

⚫︎集団自殺が起きたらしい。自殺が自殺を促すウェルテル効果についての指摘もあるし、カルト教団による集団自殺の説もある。集団催眠の実験説も。

⚫︎現在、その町は埋め立てられて立入禁止になっているらしい。

⚫︎「あまねお」という化物が人間を食っていた姿が目撃されているらしい。

読んで頂きありがとうございます。

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