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チャイムが鳴る。
ようやく六時間目が終わった。
私は教科書をカバンに詰め込み、友達の「また明日ね」という声に手を振ると、そのまま教室を飛び出した。
向かう先は、駅前の小さな地下劇場。
学校から電車で二十分。雑居ビルの地下にある、知らない人なら通り過ぎてしまうような場所。
ここが、私のもう一つの居場所だった。
更衣室で制服を脱ぎ、フリルだらけのアイドル衣装に袖を通す。
「明音、お疲れ!」
「今日も頑張ろう!」
四人のメンバーが笑顔で声をかけてくる。
私たちは五人組の地下アイドルグループ。
結成して半年。
最初は「一年後には絶対に有名になる」と本気で信じていた。
でも、現実はそんなに甘くない。
開演を知らせるベルが鳴り、私たちはステージへ飛び出した。
スポットライトが私たちを照らす。
「みんなー!こんばんはー!」
精一杯の笑顔で叫ぶ。
その声に応えてくれたのは――たった二人だった。
客席には、いつも来てくれる男性が二人。
最前列でサイリウムを振り、誰よりも大きな声で私たちの名前を呼んでくれる。
……ありがとう。
本当に、ありがとう。
でも。
私は歌いながら、どうしても考えてしまう。
客席にいる人数より、ステージに立つ私たちの方が多い。
五人対二人。
普通に考えて、おかしい。
この光景にも慣れたはずなのに、今日は胸が妙に痛んだ。
活動を始めて半年。
学校が終わればレッスン、土日はライブ。
遊ぶ時間も、恋愛する時間も削ってきた。
それでも現実は変わらない。
私は、本当にこのままアイドルを続けていていいんだろうか。
歌いながら浮かんだその疑問は、最後まで頭から離れなかった。




