共有2
焼き焦げた先生の自宅を背にして、僕達は待ち合わせをしたコンビニへ戻り、今度は立ち読みだけじゃなく、僕達はそれぞれ好きなアイスを買った。
アイスを食べながら先生の話をした。
「火事なのかな?それとも…」奈々がそう言い始めた時、僕は思わず奈々を強く睨んでしまった。
簡単に火事と決まってくれれば良いけど、僕達には気になる点がいくつもあった。
「ねぇ、僕達って結局先生の事をよく知らないよね。遊びに行った時に居た知らない人達の事だって、未だに名前すすら知らないんだし、どうして先生の家に居たのかも解らないんだからさ…」
先生は謎の多い人だった事は確か。
そもそも、僕達が家に遊びに行ったのも、僕達の秘密を知られていて、その指導か何かで呼ばれたと思い、最初は先生の家に行く事になったのだから。
しかし、指導なんて一切なかった。
あったのは…
僕達の秘密の共有と、先生の秘密の共有に過ぎなかった。
正直言うと、このまま亡くなって欲しいのが本音だったけど、でも僕達は先生の事が好きだった。
一人の大人として、妙に憧れる存在でもあり、僕達の理解者でもあった。
誰も知らない、クラスメイトや他の先生や親ですら知らない僕と奈々の秘密。
それを唯一知っている先生。
その先生の秘密を教えて貰った僕達。
僕と奈々は、コンビニから移動して、近所にある団地へ向かった。
団地は静かで、住んでいない部屋もあり、その部屋を僕と奈々は秘密基地として勝手に使用していた。
電気を付けたりしたらバレてしまう。
誰にも見られない様に慎重に部屋へ向かうしかなかった。
普段は、学校が終わった夕方や、塾帰りの夜に寄るのだけど、今はまだ昼間だったので、いつも以上に慎重に部屋へ向かった。
少し埃臭いけど、ここなら誰も邪魔が来ないからゆっくり話が出来る。
自動販売機で買ったジュースを飲みながら、僕達は先生の事を思い出しながら語った。
先生の事を知っている様で知らない僕達は、先生の考えが全く解らなかったし、何かを聞いても「その内教えるよ」としか返って来なかったのだ。
「浩人、先生の家の地下室って無事なのかな?あそこが皆に知られたら私達の事も…」
「地下室か…あれだけ燃えてたから大丈夫の様な気はするけど、バレない様に夜中になったら見に行ってみる?奈々のお母さんは今夜は仕事?」
奈々が俯いて返事をした。
「僕のお母さんも今夜は仕事だから、待ち合わせは22時で良いかな?迎えに行くよ」
そう言って、僕は立ち上がって奈々の手を引っ張って立たせた。
「じゃ、早く帰って親の前で良い子の振りをしよう。そして、今夜、迎えに行くからね」
僕と奈々は、団地に入った時と同じ様に慎重に誰にも見付からない様に外へ出た。
日差しがまだ強かった。
暗い部屋から一気に明るい日差しを浴びた僕達は、眩しくて何度も瞬きを繰り返し自転車へ乗った。
「ただいま」
元気良く帰った事を母親に言うと、化粧をしながら「ご飯作っておいたから食べてね。後、さっき学校の連絡網で電話が来て、明日は臨時集会があるそうだから、9時に体育館に来る様にだって」
僕は軽く返事をして、自分の部屋へ入った。
「臨時集会って、先生の事だよな…」




