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共有   作者: 麻香 信
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こちら、昨夜発生した高崎市大類町の火災現場です。こちらにお住いの教職員・斉藤明さん(32)、同じく教職員の斉藤加奈子さん(31)夫婦が救急隊によって病院へ運ばれました。

火災の原因は、未だ判明していません。なお、斉藤さん夫妻は意識不明の重体との事です。

現場からは以上です。


中学二年の夏休みが終わろうとしていた時に事件は起こった。


「ちょっと、これってあんたの担任の先生じゃない?」

テレビを見て驚いた表情と声色で母親に聞かれた。

「うん…」

僕は、先生の事を思いながらクラスメイトで仲の良い友達に電話を掛けた。

「もしもし?テレビ見た?」

僕が友達に聞くと、「何のテレビ?」と返事が返って来たから、今さっきニュースで見た先生の話をした。

「えっ!?嘘でしょ?」何も知らない無知の状況で驚愕の事実が一瞬で脳内に入って行くと、人間は驚きを隠す事が出来なくなるらしい。

この、『らしい』と言うのは一般的であって、該当しない人間も存在するらしい。

僕と、友達は近くのコンビニで待ち合わせをし、先生の家に行く約束をする。

母親からは、「そんな野次馬みたいな事しちゃ駄目」と注意されたが、どうしても僕達は行かなければならない理由があったのだ。

その理由とは…


待ち合わせのコンビニに着いた。

まだ、友達は来ていない様なので、僕は店内に入って週刊誌の漫画を立ち読みする事にした。

一つ二つと漫画を読み終えると、やっと友達がやって来た。

僕は、急いで週刊誌を棚に戻して外へ出る。何も買っていないのに中年女性の店員は僕に向かって「ありがとうございました」と挨拶をした。

きっと、言いたくは無いだろう。

何も買わないで、ただ立ち読みをしていただけの客なんて、客だと思われてなさそうだから。

もし、僕がその店員の立場なら、きっとそうに思うだろう。

僕達は急いで先生の家へと向かった。

僕達が待ち合わせしたコンビニから先生の家まで自転車で20分くらいで着く。

夏の日差しが刺さる様に痛い…

Tシャツに絡み付く汗が気持ち悪くて、脱ぎたくもなる。しかし、こんな所で脱いでしまったら、恥ずかしいし、常識的におかしいと解っているから行動には示さなかった。

先生の家に着いた。

何日か前に、僕と友達はここに遊びに来たばかりだったから、焼け跡になったボロボロの家が何だか夢みたいに思えた。

「ねぇ、浩人…」友達が僕を呼ぶ。

僕は、僕の名前を呼ぶ友達に言った。

「でも、このまま先生が亡くなれば、僕達の秘密は世に出回る事は無くなるだろうし、先生の秘密は僕と奈々しか知らないから、二人だけの秘密にしよう。」

暫く僕達は、焼き焦げた先生の家の前で静かに立ち竦んだ。





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