第40話:隠れた才能
キャシー、喜屋武、そして結城は大阪府警本部12階に在る食堂でランチを食べながら、捜査の打ち合わせをする。
衛生管理上、食堂には猫は入れないので、イヴは課にて留守番となった。
いつもなら喜屋武と結城は外で食べるのだが、府警本部の食堂は大阪城を眼下に見下ろせる事もあり、キャシーの希望で食堂で食べる事となったのだ。
《確かに、大阪城を見ながら食べるってのも悪くない》
結城はAランチのチキンのクリーム煮、喜屋武さんとキャシーは煮込みハンバーグ定食を注文した。
最初は皆んな静かに食べだしたが、昨夜の出来事が気になった結城は、口の中のチキンをゴクリと飲み込み、
「キャシー、ドゥ・ユー・リメンバー?イエスタディ・ナイト。アイ・トーク・ユー・ストレンジ・・・ (キャシー、思い出してもらえるかな?昨日の夜。ボクが話した奇妙な・・・)」
キャシーはニッコリと微笑み、早口で、
「Ahah, Wawawawa, wait. So, about what?(んー、ちょ・・・、ちょっと待ってね。えっと、何についてだっけ?)」
《あちゃー、もしかして忘れた?》
すると、喜屋武が楽しげに、
「結城クン。昨夜、何かあったのかい?」
結城は軽くため息を吐き、
「実は、喜屋武さん。昨日、不思議な体験をボクしまして」
「ほぅ、“不思議な体験”!興味をそそるねぇ~。話してみたまえ」
喜屋武は右眉を上げ、口元を綻ばせた。
《そんなに面白いのかなぁ・・・。キャシーはまたハンバーグ食べだしたし・・・》
結城は喜屋武をじっと見詰め、
「笑わないでもらえますか?」
「あぁ、約束する。だから、言ってみたまえ」
《ダメだ・・・、喜屋武さん、目がニヤついてる。仕方ない・・・》
結城はコホンと小さく咳ばらいし、
「いや、実は、昨日、弁天がですね・・・」
「弁天がどうした?」
「イヴ捜査官がキャサリン捜査官にやるじゃないですか?こうやって・・・」
結城は指を丸め猫の真似をすると、喜屋武さんの額に右手を置く。
喜屋武はボクの右手に目をやり、
「それが?」
「弁天も真似して、昨日、ボクの額に置いたんですよ。そしたら・・・」
喜屋武はまるで見透かしたかの様に、
「言葉が脳内に響いてきたのかい?もしかして?」
《え?何で?》
結城は頷くしかなかった。
「そ、そうです。言葉が頭に響きました。ノイズ混じりでしたけど・・・。何で理解ったんですか?」
「いやぁ、実に面白い。面白いよ、結城クン。君にそんな隠れた才能があったとは、正直驚きだねぇ。なぁに簡単な事さ。FBIの出しているレポートのキャサリン捜査官とイヴ捜査官のくだりに、彼女達はそうやってコミュニケーションを取っていると書いてあったからね。“キャサリン捜査官は話し、イヴ捜査官は手を当てる事により意識や考えを伝える。”って、そうやって双方向のコミュニケーションを取っているのさ。しかし、特筆すべきは、“ノイズ”だよ。これはレポートに無い。どういう事だろうか?うーん。ちょっと待ちたまえ」
喜屋武はペンを取り出すと紙ナプキンにサラサラと英文を走らせ、キャシーに見せた。




