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プロローグ
夕日に染められたせいか、それとも地毛なのか、少年の髪は、赤みがかった茶色だった。
少年の顔立ちは、作りは幼さを残し、かわいらしさもあるというのに、そこに浮かべられた表情はずいぶんと冷めている。
「告白なんて芸のない真似、いいかげんにしろよ。またオブスキィト目当てかよ」
夕日のせいではなく、怒りから真っ赤に染まった、愛らしい顔立ちの少女は、思わず叫んだ。
「自意識過剰もいい加減にしなさいよっ!」
「……え?」
きょとんとした顔は、先ほどの冷めた印象を一気に取り払い、何故かその顔立ちに似合っている。
「誰が告白したのよ? っていうかまだ話してないでしょ!」
「いや、だってお前、呼び止めて……」
「呼び止めたのはね、あなたが明日から同じ班だから、声をかけただけ! 私は公爵家なんて身分不相応な家、全く興味ないわっ!」
吐き捨てるようにして、その場を立ち去る。
あんなやつと明日から一年間、同じ班で過ごすなんて、と憤りながらも、赤銅色の髪の少女はただひたすらに歩いていた。
「オブスキィトなんて、こちらから願い下げよっ!」
そして、ひたすらに悪態をついていた。
これが、のちにシネラリアのバカップルと称される、アベル・オブスキィトとマリエ・モンブランの出会いだった。




