屋上9
『…本当は今すぐ話をしたいんだけど、もう授業終了のベルが鳴るわ』
『もうそんな時間か』
『そうね。だから続きは昼食時間で良いかしら??』
『ok。僕は問題ない。ただ、その話は長くなりそうなのかい??』
『ええ、とってもね』
『しかもあなたにとってはハッピーな話ではないかもしれないわ』
『それでも問題ないかしら??』
『…問題ない。アンハッピーな話題なら忘れることにするさ』
『そう…。なら、昼食時間にここで待ち合わせで良いかしら??』
『ここで良いよ。ただし条件がある』
『…条件とは??』
彼女は神妙な顔つきになる。
【条件】とはなんなのか??
今までスムーズに会話が進んでいた分、彼女は考えているのだろう…。
僕が出す条件とは…。
『それは…』
『今の時期は暑くなるからね。何か水分を持ってくること!!』
『いきなり学園の有名人に倒れられたら、僕が他の生徒からどんな仕打ちを受けるか分からないからね』
『…神崎君ってユーモアのセンスがないわね』
そう言いながらも、彼女はクスクス笑っていた。
【条件】とやらを思考を総動員して考えていたのだろう。
それが何でもないジョークのような話で、驚いたのだろう。
これは僕からのちょっとした反撃さ。
今まで彼女の思う通りに事が運んでいたからね。
少し、意地悪なことを言いたかったんだ。
しかし意外にも、彼女はありもしない【条件】に反応した。
ということは、何か【条件】を付けても問題が無いぐらいの話なのか??
これは反撃と、彼女の話の内容を読み取るための言葉。
彼女の反応を見て、彼女の話を聞かないという選択肢には至らないが、少し気を引き締めた方が良いな。
まあ、彼女が僕を試している時点で普通の話ではないのだろうけど…
『僕は食堂で食事を済ましてから来るから遅れると思うが良いかい??』
『ええ、構わないわ。時間が足らない時は次の授業時間をサボって延長しても良いしね』
『僕の単位のことは考えてくれないのかい??』
『それなら問題ないと思うんだけど??サボリの常習犯さん』
『厳しいね。ok。ではまた昼食時間に会おうか』
『そうね…。じゃあね神崎君。あなたが紳士じゃないのが分かったわ』
そう言うと彼女は屋上から姿を消した。
授業終了のベルがなり、校内がざわめき始める。
『…長い授業時間だったな。これならサボらないほうが良かったのかも』
僕はそう独り言を言うと、屋上の扉を開けた。
屋上から出て、階段を下りながら、喉の渇きに気付いた。
『さっきのはあながちジョークじゃなかったんだけどな…』
昼食時間にはペットボトルのお茶を2~3本持っていたほうが良いかな??
なんて、思ってしまった…。
一応ここで、出会いの章が終わります。
次からは話が急変しますが、スタンスは変わらず推理みたいな話です。
登場人物も今は二人(三人??)ですが、ここから続々と登場しますので是非お付き合いください。
最後に…
二人の対決がこんなに長くなるとは思いませんでした(汗)
まあ…なるようにしかならないので、時間があれば更新したいと思います!!
by神無月