表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽りの招待  作者: Than Nen
現在
33/37

現在10

『君には矛盾点が多い。それを説明させてもらうよ』


『…ええ。聞かせてもらおうかしら』



ゆっくりと視線を彼女に合わせる。



『まずは屋上の一件。君が僕にキスをしたことさ』



そう、あれが不可解すぎる。


一度も男性経験がない女性がいきなりキスなんて大胆なマネをするだろうか??


妹の事が知りたいと必死で思う人間でも、他に気を逸らす方法はなかったのだろうか??


それに今思い返してみれば、あの感覚がおかしかった…。



『君とキスをしたとき、僕はとてつもない幸福感に包まれたんだ』

『何故だか分かるかい??』



そう…、それが一番の決め手…



『君は僕と会う前にマリアを服用していたね!?』

『唾液を伝って、マリアの成分が僕に流れ込んだ…』

『違うかい!?』



人間というのは良くも悪くも過去の記憶は強いイメージ程、憶えているものだ。


それが所謂、トラウマというものになったりする。


もちろん快楽も例外ではない。



『その後の僕の感情の変化もそうさ…。あんなに号泣することなんて生まれて始めてさ』

『感情が一時的に、増大していたんだ。マリアによってね…』



そう、それで辻褄が合うことになる。


不幸中の幸いは、マリアを直接1錠服用しなかったという事か。


それともう一つ…。



『実はこの電子タバコには、とある成分が混ざっていてね…』

『マリアに似た成分。というよりもタバコに入ってるニコチンに近いかな…』

『僕はそれを吸うことによって、マリアへの衝動を打ち消していたんだ…』

『それにマリアを無効化する成分も僅かだが、入っている』

『それだけで意味は分かるよね??』



そう、それがいくつもある保険の一つ。


どんな状況になるか分からない。


普段から解毒剤のようなものを持っておくと、このような場面で非常に有効だ。



『他にも、言いたいことはいっぱいあるが続けて良いかい??』



彼女は無言を貫いた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ