マリア6
『どうだい??【マリア】の味は??』
『すごく気持ちいいだろう??』
そう、彼女の薬は偽物だった。
ビタミン剤か何かだろう。
『ええ…とても良い気分だわ…』
もう一つの可能性。
それは…。
『懐かしい甘さ…ラムネなんて久々に食べたわ…』
『二人とも持っている錠剤が偽物だということさ』
『本当にこれが【マリア】だと思ったわ…』
そう言うと彼女は座り込んでしまった。
一歩間違えば、彼女の人生は破綻していただろう。
勇気と言えば聞こえは良いが、実は無謀と言う言葉が当てはまる。
『君の演技は素晴らしかったよ。だから皆に言って良いかい??』
『何を言うつもりかしら??』
『椎名はペテン師だってね』
二人して笑った。
これでようやく相手を信用することが出来たのだから。
『騙すようなマネをして悪いね』
『君がどこまで本気なのか??』
『君は【NG】のメンバーじゃないのか??』
『この二つの疑問が頭から離れなくてね…』
『私も同じ様なことを考えていたわ』
『あなたが【NG】のメンバーで、渡された薬が【マリア】だったら…』
『それが現実にならなくて本当に良かったわ…』
心の底から安堵した顔。
彼女も僕のことを半信半疑であったのだろう。
まだ【マリア】に手を染めていて、【NG】との関わりがある。
そういう可能性も頭に入れて僕に接触してきたに違いない。
僕はその無謀さに惹かれた。
『君の勝ちだよ』
『答えられることなら何でも答えるさ』
『そうね…まず聞きたいことがあるわ』
『なんだい??』
『その偽物…どうやって作ったの??』
『はは!!そんなことを先に聞くのかい??』
『これは自分で作ったんだよ』
『これがあると、色々と便利なんでね』
『今みたいな状況のことかしら??』
『ああ、それも含めてだね』
『まさかこんな使い方をするとは思わなかったけどね』
僕は笑った。
本当にこんな使い方は想定していなかった。
ただ、持っていると便利なんだ。
色々とね…。
『これを持っているおかげで、【NG】の下部組織【NC】のメンバーになることができたよ』
『何故あなたはそんなマネをしているの??』
『話すと長くなるが良いかい??』
『ええ、全部聞かしてもらうわ…』
『いえ、聞きたいわ。あなたの過去…そして今を全部』
彼女は立ち上がりこちらをジッと見つめてきた。
やれやれ、まさか自分の過去を話す時が来るとは…。