マリア5
『君が本物を僕に飲ませるメリットはあるのかい??』
『そうね…、私は【NG】のメンバーで』
『あなたを処刑しにきたとしたら合点は行くかしら??』
『そうだった場合、今までの行動に矛盾が生じるが…』
『全て演技だとしたら、一応筋は通る…』
『ええ。私は【NG】のメンバーよ』
99%嘘だろう。
しかし、残り1%というのは理で詰めるには不可能な領域。
直感や、今までの経験から決断するしかない。
しかしそれは僕が【マリア】を持っていない時の状況だ。
今は僕に【マリア】を飲ませる理由がない。
何故ならば、僕は【マリア】を所持しているから。
彼女にとって最悪の状況なのだろう…。
苦し紛れに出しただけ…というのがほぼ正解だ。
『じゃあ僕の【マリア】を飲んでくれないか??』
『ええ…もちろん』
『けど意外だったわ…』
『あなたは【マリア】を止めたと思っていたんだけどね』
『薬をやっていた人間というのは、簡単に忘れることなんてできないさ…』
『恋人と同じだよ…』
『案外女々しいのね…』
『ちなみに渡したそれは【マリア】ではないわよ』
『飲めばすぐに楽になる劇薬だわ』
『なるほどね…【マリア】だったり、【劇薬】だったり…』
『このビタミン剤は何でも変化するんだね』
その言葉を聞いても彼女は眉一つ上げなかった。
動揺はしていないのか…??
本当に【NG】のメンバーかもしれない。
しかしそれは実態が見えないぐらい薄い確率。
この薄い確率でも、僕は死という現実を意識した。
『もし、あなたが私に渡した【マリア】を引き取るなら飲まなくても良いわよ』
『恐れているのかい…!?』
『勘違いしないで欲しいわね。ただあなたに優位な選択肢を与えただけだわ』
『いや、君は恐れている』
『もしそうなら…』
『君にとって絶望的な状況を語ってみようか!!』
『あら、それは楽しみね』
『まず、君が【NG】のメンバーではなかった場合』
『君の薬が偽物で、僕の【マリア】が本物』
『僕は無傷で、君は薬物に溺れることになる』
『そうね…。確かに、絶望だわ』
『次に君が理想的な状況』
『君が【NG】のメンバーであった場合』
『君の薬が本物で僕の【マリア】が偽物』
『まあ僕の【マリア】は本物でも構わないけどね』
『君は無傷で、僕は短い生涯に幕を閉じることになる』
『ええ、今はその状況よ』
『だからあなたに優位な状況をプレゼントしてあげたのよ』
『私が手を掛けなくても、いずれあなたは始末されるからね』
『私って優しいでしょう??』
クスクスと笑っている。
演技なのかそれとも…。
『いや、僕はその薬を飲むよ』
『もう一つの可能性を信じてね』
『そう…、なら同時に飲みましょうか…』
『ああ、そうだね。もし僕が死んだらクラスの皆にはこう言ってもらえないか??』
『ええ、私の気分がよければね』
『椎名はペテン師だ…皆気をつけろよ!!ってね』
その言葉を言い終えると、二人は一気に薬を飲み込んだ…。




